先週、13日から福岡に行っておりました。
14日は、ある大手企業の労働組合の中四国、九州支店のレディースセミナーということで、女性組合員の方とご一緒にマクロビオティックのお料理と、ビギナーの方のためのお話をさせていただきました。
アシスタント無しでの講座でしたので、写真を撮る時間がありませんでしたが、
楽しくお料理を作ることができました。
メニューは、玄米ちらし寿司、精進貝柱のお吸い物、ココナッツマカロン、さつま芋のトリュフを作りました。
前日入りして、青物の葉野菜などは天神界隈の自然食品店さんで調達いたしましたが、塩、醤油、ゴマ油、柚子酢、梅酢などの調味料や、根菜、手作り紅生姜や、お菓子の材料などなど、そしてセルクルなどの道具や押し型、物相などは、香川からの持ち込みの大荷物での教室でした。
最初は高松で、とのお話で、私に白羽の矢が立ったのだと思うのですが、最終的に福岡での開催となり、九州にはたくさんのマクロビオティックの講師の先生がおられる中、かなり恐縮しながらの出張講座となりました。
交通費や、宿泊費などが余分にかかるので、なんだか申し訳ない気持ちでしたが、その分、喜んで頂けるようにと精一杯勤めさせていただきました。
みなさん、明るくて、楽しい雰囲気で終始笑い声が聞こえる講座となり、緊張するかなとドキドキでしたが笑顔に助けられました。ありがとうございます。
IHのキッチンでしたので、いつもと違う使い勝手でしたが、お伺いするとやはりお家もIHの方が多いようでした。私などよりも使いなれておられて助かりました。おひとり妊婦さんがおられたので、電磁波カットのエプロンをおススメしておきました(^_-)-☆
とても立派で綺麗なキッチンでしたが、調理器具などの事前チェックができませんでしたので、多少、困惑しましたが、なんとか形になりホットいたしました。
皆さんの試食タイムに、食べることの意味や、カラダの構造、機能などがどのように進化して出来上がり、どのようにシステムされているかをお話させていただきました。
写真は、委員長さまがたくさん撮ってくださいましたので、データをお送り頂きましたら、また、ご報告いたしますね。
本当は、このお仕事で終わりだったのですが、グッドタイミングにお問い合わせを頂き、翌日、小さな講座を開催させていただくことになりました。
お話を伺うと、無何有庵の講座に興味を持っていただき、なんと昨年の秋から皆さんでブログを見てくださったりいつか香川に来たいとお話ししたりしながら、私の講座を受講されたいと思い続けてくださっていたのだとか。
きゃぁ~、こんなうれしいことはありません。とても感激いたしました。
8名の皆さまは、同じマクロビオティックの教室の学びの友ということで、マクロビオティック2年目の皆さまでした。主にお料理中心に習われてこられたとのことで、理論などを学びたいというリクエストでした。
無何有庵のアドバンスクラスの方の講座<マクロビオティックZERO PT.>講座のような内容をご希望でしたので、通常6回コースなのですが、それぞれのエッセンスを盛り込んだ内容の「上級者のための<マクロビオティック ZERO Pt .> 講座 アドバンス集中レッスン」ということで、1回完結の講座の内容に組み直しました。
はじめは、玄米ごはんの炊き方、ゴマ塩、鉄火味噌、三年番茶、そして理論という内容をご提案させて頂いたのですが、内容が地味(滋味)なので、少し華やかなメニューも作られたいとのことで、プラス、「豆腐と山芋のア・ラ・ヴァプールムース ヴリュノワーズ葛ソース」という創作メニューを加えました。
まぁ、なんてことはない、豆腐と山芋のふんわりした蒸し物に、小さくカットした野菜の葛ソースを添えていただくというものですが、全てのお料理にレシピなしで挑んでいただきました。
マクロビオティックの考え方や、お料理の技術やコツなどは、紙に書き留めてずっとそれを見ながら生かすのは、とても大変。それは取扱説明書を毎回広げて道具を使うようなもの。そんなことしている方はいませんよね!?
マクロビオティックも同じです。
季節や一日、ひと月という時間のめぐり、性別、年齢、住んでいる環境、お仕事の違い、などなど、ひとりひとり、条件が違いますし、お料理するなら、道具も材料も産地も違うわけですから、その時々の変化に対応しないといけないのです。元気な方とそうでない方とでもご飯かお粥か絶食かなどと変わるのです。
それをいちいち、この時は、何ページのこの方法、この時はこのレシピで分量計ってなどとやっていてはいつまでたってもマクロビオティックを使いこなすことはできません。
ある程度習われたら、そのテキストは引き出しの奥に仕舞って、自分の五感、六感、直観、イメージ、感覚、センスなどなどを駆使して対応しながら、その経験を次にまた生かして行くことが大切なのです。
十年前に、マクロビオティックの大家、故松本光司先生の出版されたばかりの著書「穀菜和食」にサインをお願いいたしましたら、
「食養の座敷は広い
どなたでも理屈というクツを
脱いで おあがり」
と、標してくださいました。
何かに囚われてしまったり、気持ちをガンジガラメに縛り付けたり、こうでなければならないと頑なになったり、変化に応じることなく視野が狭くなってしまったり、まじめにすればするほど身動き取れなくなってしまうのもマクロビオティックの面白さです。誰もが通る道なのかもしれませんね。
でも、そこであまりにも辛いばかりでは続けていくことはできませんね。なぜ続けられなくなってしまったのかを省みて、一つ一つタガを外して行かなくてはなりません。
絡みついた糸をほぐして、一本の使える糸にしなくてはですね。
その糸を編んだり、解いたり、編んだり、解いたりしながら、だんだん上手に編めてくるというものなんです。
そのためにも、一通りマクロビオティックを学んだら、一旦、その学びを手放してみて、また、五感、六感・・・に問うてみる。自分との相性はどうなのか?楽しいのか苦しいのか、好きなのか嫌いなのか、と。
大切なのは、生きることなのです。
お料理なら、元気を生み出すものでなければなりません。
ひょっとしたら、無農薬ではないかもしれない野菜でも、あったかいスープを作って、夜遅くに寒空の下から帰ってきた大切な人の緊張をほぐすことができたなら、無農薬の野菜でいやいやめんどくさいなと思って作るスープより断然!温まって生き返ったと思ってくれるのではないでしょうか?
マクロビオティックが大切なのではないのです。
マクロビオティックはあくまで指針であり、指標であり、いわば人間の取り扱い説明書、参考書みたいなものです。
人間である自分が、自分をどう取り扱うかなんて、それは本能を磨くこと以外に方法はないのです。
自然の(宇宙の)中にいながら、自然から随分遠くに生きるようになってしまった今、多くの人はやっぱり参考書くらいは必要になるのです。だから、桜沢先生がマクロビオティックとして、まとめてくれたわけです。
だから、ある程度、参考になるものと実際を見比べてみることができたら、その後は、実際を生きるしかないのです。そのためにも、参考書は忘れて、実際をもっとよく見つめる必要があるのです。
失敗はつきもの。気にしてはいけない。
本来は、その過程を親から子に受け継ぎながら、親のすることを真似て、失敗して、成功して、身につけていくのが、動物のならわしですが、お金のために、出世のためにと勉強が大事とかやっているとそんな時間が無くなって、ふと気がつくと、これでいいのかなってマクロビオティックなんかにたどりつくわけです。
でも、たどりつけた人はしあわせです。
伝い歩きをしながらも、赤ちゃんは、いつかその手を外して、ふらふらして転びながらも一人で歩く喜びを獲得します。
私たちは、そんなことをちゃんとやってのけて今があるのですから、マクロビオティックの杖はいつまでも離さないでは前に進めません。
そのためにも、今ある知識を一度ZERO化するのです。
知識が邪魔をすることもあるのです。
今回は、まず、玄米ごはんの炊き方から、頭の中の常識を壊すことから始めました。
どのように炊かれているのかと伺いましたら、習った通りにとのこと。
洗い方、浸水の方法、何故そうなのか、場合によってそうでないのか、などを説明しながら、感じていただきました。
いつも通りの道具で、いつも通りに炊く玄米ごはんと、
いつも通りの道具で、いつもとは違う炊き方の玄米ごはん。
圧の掛け方、圧とはなにか?など、できれば近いうちに、水もはからず、感を駆使してコツをつかみ、目分量でいつもおいしい玄米ご飯が炊けるようになっていただくためのレッスンをいたしました。
いつも通りの道具で、皆さんの常識を破った炊き方の玄米ごはん、「今まで食べた玄米ごはんの中で一番おしいい」「え~、なぜ~」(笑)となりました。
でもね、このおいしさが、ず~っと続くわけではないのです。
同じ炊き方が通じるのはせいぜい3か月。味覚は変わっていきます。
それは、カラダが変化していくからです。季節も変化しますしね。
ガンジガラメになってしんどかった皆さん、ふんわりと気持ちが弾むように少し炊き方を変えただけなのです。だから、次に違う味を求めるようになってきたら、今度は皆さんがよく考えて、五感、六感を、働かせて、美味しいと思える炊き方を見出してみてください。そのレッスンが、いつかは、いつ炊いても美味しく感じるように少しずつ調整できる人になれるはずです。
そんな感じで、あり得ないと思うだろう配合の胡麻塩。胡麻塩の役割を知っていただき、今どんな胡麻塩が自分に必要なのか、家族に必要なのかを時々に七変化できるような魔女になっていただくためのレッスン。
そして、鉄火味噌は、日本中のどのクラスよりも、砂粒よりも細かくふわふわに野菜を切り、作っていただきました。口の中で溶けるように、ぜひ、また、皆さん力を合わせて作ってみてください。
そして、3回目には、少し粒を大きくしてみてください。その次は、野菜の量を色々にしてみてください。
そうして、鉄火味噌は皆さんの強い味方になるはずです。
最後に、創作料理。全くレシピなしですから、皆さんのアイディアやこれまでの経験を生かして、調味料の分量も「おいしい量で」と(笑)お願いたしました。
でも、さすが、みなさんお料理上手。とっても美味しく、綺麗に仕上げてくれました。
残り物で、スープまで作ってくれましたよ。
玄米ごはんは、洋ナシ形に成形して、パン粉を付けて揚げました。
蕪の葉っぱやレタスの葉っぱで飾り付け。
鉄火味噌、ゴマ塩をあしらって、カラフルな野菜たちで彩りました。
リクエストの豪華な一品。とってもシンプルなメニューを華やかに演出しました。
残り物の野菜くずでスープを一品。昆布だけのお出汁に、塩と醤油だけの味付けです。
素敵なテーブルクロスを敷いていただいて、春らしいコーディネートになりました。
座学講座のテーマは
「マクロビオティックをZERO化する
マクロビオティックのテキストは人生の羅針盤ではない」
でした。皆さんのココロに響くことができたでしょうか?
●潜象の物理について・・・見えるものと見えないもの
●食べることは生きること・・・食べるとはどういうことなのか?
●人間の起源について・・・カラダの構造と機能(生命からのメッセージ)
●糖質と私たちの歴史
などについて、お話させていただきました。
ご参加の皆さま、短い一日講座でしたが、いかがでしたでしょうか?
皆さまのマクロビライフに、少しでも生かされますように・・・。
楽しい時間をありがとうございました。