今年の1月11日に書かせていただき、gooブログアクセスランキングトップ10入りした「酵素流行りにご注意!」の投稿が、再び多くの方に読んでいただけたようで、ランキング17位となりました。
お読みいただきましたみなさまにお役に立てましたら幸いです。
さて、今回、再び多くのアクセスをいただく中、貴重なご意見もいただきましたので、
改めて「酵素ジュース(ドリンク)」について書かせていただきたいと思います。
前回にも書きましたが、『砂糖が無毒化する』という都市伝説には
「砂糖が完全に分解されているので安全だ」といういかにも科学的根拠があるように思えてしまうご意見をされる方が結構いらして、普段、砂糖はなぁ・・・と思っている方も、それなら安心と酵素ジュースを作られている方がとても多いようです。
ツイッターでも、そのようなコメントをたくさんいただきました。
砂糖が分解されると、水と二酸化炭素に変わるわけで当然甘みは薄くなっていきます。(水と二酸化炭素は無味無臭です)
完全分解ということは、完全に水と酸素だけになった状態を指しますので、全く甘みは無くなると考えなくてはいけません。
しかし、酵素ジュースはコメカミが痛くなるほど甘いですよね。
だから炭酸で割って飲まれている方がほとんど。
確かに清涼感一杯で、しかも酵素が摂取できて、夏の飲み物には最適~♪とブームが起きたようです。
ヤフーで「酵素ドリンク」と入れて検索するとなんと約9,050,000件がヒットします。
すごい数ですね~。そのほとんどが酵素ドリンク肯定派。あの日経でさえ取り上げているのだから、多くの人が興味を持つのもよくわかります。本音は最後にとよく言いますが、巻末に家で作るのが面倒な人には通販がある旨をさらりと一行入れていますが(笑)
酵素ジュースの作り方はクックパッドなどにもたくさん紹介されていますが、
簡単にいえば、野菜や果物に砂糖をビンに入れ発酵させます。中には時々手で混ぜながら放置して発酵させるというものまであります。常在菌が必要なのでしょうか?好気性なんですかね?糠漬けみたいです。それはさておき、つまりは『発酵』ドリンクなわけですね。
ということで、酵母、酵素、発酵の棲み分けがきちんとできていないと理解しにくいのではないかと思いますので、簡単にご説明すると、いろいろな環境に様々な微生物(いい子も悪い子もいます)が生きていて、そのうちの一つが酵母です。これらの微生物の繁殖によって起こる食品の成分の変化が発酵と腐敗です。この成分変化に生物が利用するのが酵素というタンパク質で、生きているというような表現をよく見かけますが生物ではありません。
以下に、それぞれをちょっとまとめてみました。
私はみなさんご存知の通り「リケ女」ではないので、間違いを見つけた人は訂正入れてくださいね。
まず、酵母とは:
微生物の一種で、日本酒やビールなどのアルコール発酵やパンの発酵など、日本では様々な食品の発酵に長年利用されきた生物です。栄養体が単細胞性を示す真菌類の中でも菌糸があつまるキノコ類や黴などと違い、酵母は一つ一つの細胞がバラバラになっています。一種類の生物というわけではなく、上記の定義が当てはまる生物の総称として酵母と呼ばれています。
酵素とは:
触媒として働くタンパク質で、生物の細胞内で作られます。様々な化学反応を起こさせ、体内での物質合成や分解を行うものです。よく知っているもので、唾液に含まれるでんぷんを分解する酵素アミラーゼ、胃の中でたんぱく質を分解する酵素ペプシン、乳糖を分解するラクターゼがありますね。
微生物は、人間が持ってないような酵素を持ち、人間の体内では作れない化学物質を作れたり、人間には分解できないものが分解できたりします。例えば、青カビはペニシリンを作ります。これは、青カビがペニシリンを合成する反応を触媒する酵素を持っているからです。
酵素の特徴として、「基本的に一つの酵素は一種類の反応を触媒する」こと、温度やpHや濃度(酵素や基質の濃度)など酵素ごとに「最良の条件」があり、その条件下以外ではまったく働かなかったり、下手すると酵素自体が変性して二度と活躍しなくなったりします。酵素ってデリケートなのですね。
酵素は基質とピッタリ結合する立体構造が大切で、その立体構造は、アミノ酸が直線状に連なったものを折りたたんで作っているタンパク質でそのために変形しやすいのです。それぞれの酵素の「最良の条件」は、これまたそれぞれで、その酵素が働くべき場所で働けるようになっています。
発酵とは:
生物による物質の分解や合成(つまり、生物による酵素反応)を利用して、食品中の成分を別のものに変えることです。
人間は、昔から微生物を利用して食品を作ってきました。例えば、我らが日本酒、ワインやビール。他にも味噌、醤油、酢、漬物、納豆、ヨーグルト、チーズなど、発酵食品といわれるものです。これらは、微生物等が酵素反応によって食品の成分を他のものに変化させることを利用しているのです。
ここまで読まれたら少しご理解いただけるかと思いますが、酵素は体内に入れても、胃の中の酵素ペプシンで分解されてしまいますので、酵素として吸収することは不可能です(笑)
口から取り入れた酵素が体内で働くことはできないのです。
それでは酵素ドリンクが何故こんなに流行ったのか?
多くの方が生活習慣を変えずに楽して健康になりたいという願望を、少し自然ぽいテイストでしかも頑張ってる感も味わえるという、まさに時流に乗った健康法だったからでしょうか?
甘いというのも、スイーツ感覚でポイントが高いと思われます。
そして、そのベースに流れている考え方が「酵素を食物から摂らないことで不健康になり、長生きができない」とする「酵素栄養学」というエドワード・ハウエル氏が提唱した独自理論です。
要は、酵素が足りないと健康を害するので、酵素を摂りましょうということです。
「キラー・フード あなたの寿命は「酵素」で決まる」というタイトルで翻訳書が出版されていますので、お暇な方は読まれてみてはいかがでしょうか?
さらにこんなことも書かれています。
食物の酵素(食物酵素)は生で摂る方が有効で、加熱調理した食べ物では酵素が壊れているため意味を成さないと。ローフードの考え方の基本もこの「酵素栄養学」が流れているようですね。
加熱調理によって食べ物は消化しやすくなり、人間は飛躍的な進化の恩恵を持ったのは周知のことですね。参考にこちらをご覧ください。「食品の加熱、その得失。」食品安全委員会委員 本間 清一
さてさて、酵素ジュースの中に残る酵素ってどのくらいなのでしょうか?
酵素を使うわけですから、酵素は減る?んですよね。
甘みに関しては、口腔内が仮にph7の中性であっても(現に砂糖水事態はph7ですから)、口腔内に潜んでいるミュータンス菌(虫歯菌)は甘いものを餌にして増殖。餌を食べれば当然生き物ですから排泄物があります。それが強酸性なウンチを出すのです。それによって口腔内のphが下がり一気に酸性に傾きます。
口腔内のphが5.4(酸性状態)を切ると歯は溶け始めます。
酵素ジュースが本当に完全分解されていても、あの甘みは、虫歯を作る原因となります。
どうぞ、みなさま、この夏、気をつけてくださいね。
お読みいただきましたみなさまにお役に立てましたら幸いです。
さて、今回、再び多くのアクセスをいただく中、貴重なご意見もいただきましたので、
改めて「酵素ジュース(ドリンク)」について書かせていただきたいと思います。
前回にも書きましたが、『砂糖が無毒化する』という都市伝説には
「砂糖が完全に分解されているので安全だ」といういかにも科学的根拠があるように思えてしまうご意見をされる方が結構いらして、普段、砂糖はなぁ・・・と思っている方も、それなら安心と酵素ジュースを作られている方がとても多いようです。
ツイッターでも、そのようなコメントをたくさんいただきました。
砂糖が分解されると、水と二酸化炭素に変わるわけで当然甘みは薄くなっていきます。(水と二酸化炭素は無味無臭です)
完全分解ということは、完全に水と酸素だけになった状態を指しますので、全く甘みは無くなると考えなくてはいけません。
しかし、酵素ジュースはコメカミが痛くなるほど甘いですよね。
だから炭酸で割って飲まれている方がほとんど。
確かに清涼感一杯で、しかも酵素が摂取できて、夏の飲み物には最適~♪とブームが起きたようです。
ヤフーで「酵素ドリンク」と入れて検索するとなんと約9,050,000件がヒットします。
すごい数ですね~。そのほとんどが酵素ドリンク肯定派。あの日経でさえ取り上げているのだから、多くの人が興味を持つのもよくわかります。本音は最後にとよく言いますが、巻末に家で作るのが面倒な人には通販がある旨をさらりと一行入れていますが(笑)
酵素ジュースの作り方はクックパッドなどにもたくさん紹介されていますが、
簡単にいえば、野菜や果物に砂糖をビンに入れ発酵させます。中には時々手で混ぜながら放置して発酵させるというものまであります。常在菌が必要なのでしょうか?好気性なんですかね?糠漬けみたいです。それはさておき、つまりは『発酵』ドリンクなわけですね。
ということで、酵母、酵素、発酵の棲み分けがきちんとできていないと理解しにくいのではないかと思いますので、簡単にご説明すると、いろいろな環境に様々な微生物(いい子も悪い子もいます)が生きていて、そのうちの一つが酵母です。これらの微生物の繁殖によって起こる食品の成分の変化が発酵と腐敗です。この成分変化に生物が利用するのが酵素というタンパク質で、生きているというような表現をよく見かけますが生物ではありません。
以下に、それぞれをちょっとまとめてみました。
私はみなさんご存知の通り「リケ女」ではないので、間違いを見つけた人は訂正入れてくださいね。
まず、酵母とは:
微生物の一種で、日本酒やビールなどのアルコール発酵やパンの発酵など、日本では様々な食品の発酵に長年利用されきた生物です。栄養体が単細胞性を示す真菌類の中でも菌糸があつまるキノコ類や黴などと違い、酵母は一つ一つの細胞がバラバラになっています。一種類の生物というわけではなく、上記の定義が当てはまる生物の総称として酵母と呼ばれています。
酵素とは:
触媒として働くタンパク質で、生物の細胞内で作られます。様々な化学反応を起こさせ、体内での物質合成や分解を行うものです。よく知っているもので、唾液に含まれるでんぷんを分解する酵素アミラーゼ、胃の中でたんぱく質を分解する酵素ペプシン、乳糖を分解するラクターゼがありますね。
微生物は、人間が持ってないような酵素を持ち、人間の体内では作れない化学物質を作れたり、人間には分解できないものが分解できたりします。例えば、青カビはペニシリンを作ります。これは、青カビがペニシリンを合成する反応を触媒する酵素を持っているからです。
酵素の特徴として、「基本的に一つの酵素は一種類の反応を触媒する」こと、温度やpHや濃度(酵素や基質の濃度)など酵素ごとに「最良の条件」があり、その条件下以外ではまったく働かなかったり、下手すると酵素自体が変性して二度と活躍しなくなったりします。酵素ってデリケートなのですね。
酵素は基質とピッタリ結合する立体構造が大切で、その立体構造は、アミノ酸が直線状に連なったものを折りたたんで作っているタンパク質でそのために変形しやすいのです。それぞれの酵素の「最良の条件」は、これまたそれぞれで、その酵素が働くべき場所で働けるようになっています。
発酵とは:
生物による物質の分解や合成(つまり、生物による酵素反応)を利用して、食品中の成分を別のものに変えることです。
人間は、昔から微生物を利用して食品を作ってきました。例えば、我らが日本酒、ワインやビール。他にも味噌、醤油、酢、漬物、納豆、ヨーグルト、チーズなど、発酵食品といわれるものです。これらは、微生物等が酵素反応によって食品の成分を他のものに変化させることを利用しているのです。
ここまで読まれたら少しご理解いただけるかと思いますが、酵素は体内に入れても、胃の中の酵素ペプシンで分解されてしまいますので、酵素として吸収することは不可能です(笑)
口から取り入れた酵素が体内で働くことはできないのです。
それでは酵素ドリンクが何故こんなに流行ったのか?
多くの方が生活習慣を変えずに楽して健康になりたいという願望を、少し自然ぽいテイストでしかも頑張ってる感も味わえるという、まさに時流に乗った健康法だったからでしょうか?
甘いというのも、スイーツ感覚でポイントが高いと思われます。
そして、そのベースに流れている考え方が「酵素を食物から摂らないことで不健康になり、長生きができない」とする「酵素栄養学」というエドワード・ハウエル氏が提唱した独自理論です。
要は、酵素が足りないと健康を害するので、酵素を摂りましょうということです。
「キラー・フード あなたの寿命は「酵素」で決まる」というタイトルで翻訳書が出版されていますので、お暇な方は読まれてみてはいかがでしょうか?
さらにこんなことも書かれています。
食物の酵素(食物酵素)は生で摂る方が有効で、加熱調理した食べ物では酵素が壊れているため意味を成さないと。ローフードの考え方の基本もこの「酵素栄養学」が流れているようですね。
加熱調理によって食べ物は消化しやすくなり、人間は飛躍的な進化の恩恵を持ったのは周知のことですね。参考にこちらをご覧ください。「食品の加熱、その得失。」食品安全委員会委員 本間 清一
さてさて、酵素ジュースの中に残る酵素ってどのくらいなのでしょうか?
酵素を使うわけですから、酵素は減る?んですよね。
甘みに関しては、口腔内が仮にph7の中性であっても(現に砂糖水事態はph7ですから)、口腔内に潜んでいるミュータンス菌(虫歯菌)は甘いものを餌にして増殖。餌を食べれば当然生き物ですから排泄物があります。それが強酸性なウンチを出すのです。それによって口腔内のphが下がり一気に酸性に傾きます。
口腔内のphが5.4(酸性状態)を切ると歯は溶け始めます。
酵素ジュースが本当に完全分解されていても、あの甘みは、虫歯を作る原因となります。
どうぞ、みなさま、この夏、気をつけてくださいね。
facebookで熱中して「酵素つくり!」していると、コメントされている人が、最近、酵素のことは投稿されなくなりヘンだと思っていましたが、歯医者さんの指摘で、よくないことがわかり、かなりへこんでおられると思います。
酵素作りされている方は本当に多いですね。
空前の酵素流行りですから、仕方がないのでしょうね。
でも、カラダにいいと思って実践されていたことだけに、へこみますよね。
甘いものは、まず、危険と感じていただけるとうれしいです。私たちに必要な甘みは、厳密にいうと、未精製の穀類をよく噛んでブドウ糖に分解したものです。
それ以外を摂取する時には、ちょっと立ち止まってよく考えてからにする習慣をお願いいたします。
私どもは歯医者として、患者さんの臨床を通して「酵素ジュース」は毎日飲むものではないと申しているだけです。
大人は自己責任でお好きになさればいいですが、幼い子どもに自己責任とは言えません。
大人がしっかり本質を見極めて、ブームに流されずに健康に留意していただきたいとの思いで書かせていただいたものです。
間違いなく酵素ジュースは口腔内の問題を引き起こします。どんなに品質の違いをおっしゃっていただいても、毎日常用していると、それには関係なく問題を引き起こします。口腔内の問題は口腔内だけに留まるでしょうか?お考えください。
発酵してるから大丈夫って、何が大丈夫なんだろう??って。
むしろショ糖をブドウ糖と果糖に分けてしまうのなら、より吸収されやすくて血糖値も上げてしまうから体に良くないのではないのか?なんて思います。
いっそ、普通の果実を漬けたジュースの方が吸収もゆっくりで血糖値も上げにくいなんてことになったら本末転倒ですね。
酵素は私たちにはとても大切なものですが、健康ブームに乗った過剰なまでのヒートアップは思わぬ危険を伴いようですね。パンとスイーツの特集を組めば雑誌もTVも売り上げや視聴率が上がるという現代人の志向に合った酵素ドリンク(ジュース)が本当に常飲して健康になるのかどうか…。もっと本能を働かせて、チョイスしたいものです。まず、歯科的にはアウトです。歯を壊すものが、身体にいい効果がもたらされるとはとても考えられません。ちえさんのように本当かなって、しっかり吟味していただけるとうれしいです。