京都シリーズも4つも続くとそろそろ締めようかと思います。
京の町は平安の世から公家文化が永く、それらを取り巻く民族の集まりで形成された社会は、華やかさと裏腹に陰を含んだ言い回しの腹黒さが渦巻いている。
{京のぶぶ漬け}で代表されるように「早よ帰ってんか」とは言わずに『なぁんもあらしませんねんけど、ぶぶ漬けでもどうどすか?』と。
もっとも今はそんなことを言う家はまずないと思う。
タイトルに挙げた例でも同様。
「お宅のお嬢ちゃん、ピアノも上手にならはりましたねぇ」と褒められた(と思った)ら
『いゃぁすんません、喧しゅうしてご迷惑をおかけしてぇ』と、とにかく謝れということ。
それが普通一般の会話として当然のことなのだから、ヨソモノが入り込んだら大変な世界なのだ。
いわゆるいけず(意地悪)が日常に通る町。
「ええべべ着といやすなぁ」(良い服を着ておられますね)と褒められて
『へぇ、おおきにぃ』(はい、ありがとうございます)と返しても普通の会話なのだけれど
素直に喜べないのが京の人。
良い服と褒めてくれてはいるのだけれど、身分不相応にとか中身と釣り合わずにとか
そんな意味合いが往々にして含まれる。
「ようお似合いの」が入ると入らないでは全く違うので、言われたほうも「中身がよろしおすよってにぃ」とニタッと笑って返すのが負けていないところなのである。
住んだ事こそないものの、こんな裏の裏の裏まで読み解く言い回しを決して嫌いではない。
下手な推理小説を読むよりもっと面白い。
松本清張や森村 誠一ばりの複雑な世界も、逆に外から見れば楽しいもんだ。
やっぱり僕の歪(ユガ)んだ根性、歪(ヒズ)んだ精神なんだろうなぁ。
お~~~怖い。
それでも 京都は好きな町~