2017年12月11日
長距離巡航ミサイルの導入に断固反対する(コメント)
社会民主党幹事長 又市征治
小野寺防衛相は8日、航空自衛隊の戦闘機に搭載して地上の目標や海上の艦船を狙える長距離巡航ミサイルの導入を正式に表明し、ノルウェーが開発している「JSM(ジョイント・ストライク・ミサイル)」の導入費や米国製ミサイル「JASSM(ジャズム)」と「LRASM(ロラズム)」の調査費として約22億円を2018年度予算案に追加要求したことを明らかにしました。
小野寺防衛相は、長距離巡航ミサイルの配備は、日本の離島防衛や、北朝鮮の弾道ミサイル発射を常時警戒するイージス艦の防護などが目的だとしています。しかし、たとえば、JSMの射程は約500キロメートルですが、F35戦闘機に搭載することで大幅に飛距離が延び、GPSとレーダーを利用し正確に目標を破壊することができるとされ、日本に弾道ミサイルが向かってくる前に相手の発射台などを壊滅させる敵基地攻撃も可能となる打撃力を有しています。長距離巡航ミサイルの配備は、憲法9条に基づく「専守防衛」を大きく逸脱する敵基地攻撃能力の保有であり、断じて認められません。
また、防衛省は、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入に向け、2017年度補正予算案と18年度当初予算案に合わせて37億円程度を要求するとともに、イージス艦に迎撃を指示する自動警戒管制システム「JADGE」の刷新費、PAC3の防護範囲を倍増させる「PAC3MSE」の調達費などミサイル防衛関係経費1900億円を17年度補正予算案に上乗せしようとしています。
補正予算は、突発的な災害対応など、予算作成後に生じた特に緊要となった経費の支出のためのものです。ミサイル防衛関係経費を査定が甘い補正に回すことは、国民にわかりにくく姑息であるだけでなく、過去最大となっている18年度予算の追加余地を増やす意味があります。厳しい財政事情といいながら、防衛費を「聖域扱い」し、補正予算においても膨張させていくことは、断じて容認できません。
トランプ米大統領が来日時に求めた「米国製軍事装備の大量購入」の圧力に応じて野放図に防衛力を強化すれば、アジア地域の軍拡競争を招きかねません。敵基地攻撃能力を有するなど「専守防衛」の枠をさらに超える軍備拡大に断固反対し、追及していきます。
以上