リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

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2021年08月06日 21時39分48秒 | 日々のこと
今年のオリンピックの開会式の音楽はアニメ音楽のオンパレードだったそうです。開会式は、というかオリンピックそのものを見ていないのでよくわかりませんが、調べてみるとどうもそのようです。

評判はとてもいいみたいなのですが、でも考えてみればこのくらいの工夫って中学校や高校の放送部員でも思いつきそうなレベルのような気もします。君が代の斉唱はYou Tubeで見ましたが、オケの伴奏がついていました。なかなかいい感じでしたが、作曲者についてはぐぐってみても出てきません。こんな大きな仕事なのにおかしな話です。何かあるんですね。皆さんあまりつっつかないですけど。

1964年の大会のときのファンファーレは公募で今井光也氏の作品が選ばれ演奏されました。今井氏はアマチュアのオーケストラで活動をしていましたが専業作曲家ではなかった人です。とても典雅なファンファーレでおよそヨーロッパの作曲家では思いもつかない発想の曲です。音楽の女神が突然このときを狙って今井氏に降りてきたに違いありません。

64年大会の入場行進曲はテレビの朝ドラの主人公にものなった古関裕而です。この時古関は55歳、まぁ作曲家としては油が乗っていた頃でしょう。私は少し経って音楽をきちんと学び始めた頃、なぜ古関?と疑問に思ったものでした。というのも当ブログでも何回か書きましたが、このオリンピックマーチは後半に少し木に竹を接いだような強引なところやメロディの音階にぎこちない部分があるからです。やっぱりクラシック系の人とちゃうからな~、なんて高校生の私はにエラそうに思っていたものでした。

もっと技術的にしっかりしたものを持っている作曲家なら、64年当時40歳の團伊玖磨、50歳の伊福部昭、48歳の柴田南雄、61歳の諸井三郎らがいましたし、若手の芥川也寸志、武満徹、三善晃、黛敏郎(全員まだ30代です)などいっぱいいたはずです。まぁ要するにどういう人「を」ではなくどういう人「が」選ぶかという、人選の問題ですね。

皇太子ご成婚の際の行進曲は團伊玖磨が作曲した祝典行進曲でした。とても典雅で立派な曲で、エリザベス女王とジョージ6世のそれぞれの戴冠式の際に作られた、ウォルトンの2曲の行進曲と比肩できる作品です。

いろいろありすぎた東京オリンピック2020も8日にやっと終了します。8日には台風が関東地方に近づきますが、大相撲の白鵬ではないですが最後のダメ押しがまだあるかも。