リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

なぜニ短調調弦が残ったのか(7)

2022年06月19日 16時22分22秒 | 音楽系
この悩ましい4度決めがバロック・リュートだと1回だけです。慣れてくればそう時間のかかるものではありません。ここさえ少し時間をかけて慎重に行えばあとはスイスイです。バロック時代にはチューナーはありませんでしたので、昔の人はこのようにして音をよく聴いて綺麗に楽器を調弦したのでしょう。このようにバロック・リュートは調弦のシステムがシンプルだったので弦が多い割には綺麗にすばやく調弦できる楽器だったのです。

現代ではチューナーと言う便利なものがあるので、全面的にこれに頼るのがとりあえずある程度の水準の調弦ができるという意味では実用解でしょう。でもほんとに綺麗に調律するのはチューナーを使ってはできません。

こんなことは調律師ではないのでできないとおっしゃる方もいるかも知れません。でもピアノには調律師がいますがリュートの調律師はいません。調律師はあなたです。一度はここで申し上げた方法を試してみましょう。