リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

なぜニ短調調弦が残ったのか(5)

2022年06月17日 13時34分21秒 | 音楽系
用意するもの。ほとんど振動不良がなく音程も正確な弦を張ったバロック・リュート。これは当たり前ですけどとても重要なことです。

3コースの弦の内1本をチューナーで正確に合わせます。このときメーターで合わせるのではなく、チューナーから音を出しそれに合わせます。メーターで合わせるのは実体(現物同士)で合わせないので完璧には合いません。もっともヘタにチューナーなしで合わせるよりははるかに正確ではありますが・・・

次に2コースも同様にチューナーで合わせます。(チューナーは平均律で)そして2コースと3コースを同じバランスで弾いてみます。これが実はなかなか大変でしょう。なんどもやって2つの音が同じ音量で出るようにします。

そしてこれらの2つの音から生じるうなりを聴きます。この平均律チューナーに合わせられた2コースと3コースの音は純正より2セント幅広なので音にうなりが生じます。純正の場合はうなりはありません。

このうなりの周期を覚えます。大体1秒より少し長いくらいの周期のはずです。ペグを回してこの周期が無限大になったときは幅が2セント減って純正になったときです。

この差はペグの回転量からするとほんとにわずかなものです。でも綺麗な調律はここが勝負です。