リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

なぜニ短調調弦が残ったのか(6)

2022年06月18日 20時49分59秒 | 音楽系
ポイントは平均律の4度より「わずかにきたなく」(気持ち幅広)して(5度は気持ち幅狭)その分を長3度に回す(より低めの長3度=多少なりとも綺麗な長3度)ということです。さきほど覚えた平均律のピッチより少しテンポアップした4度にします。平均律が1秒少しなので、1秒より少し短めです。

これで4度が2セントと少し幅広になったはずです。計測したわけではありませんが、2.1セントとか2.2セントくらいでしょうか。チューナーの針では計測できないレベルです。
次にこの分のフレットの補正をします。7フレットは少し低め(ナットより)5フレットを少し高め(ブリッジより)4フレットは少し低め、3フレットはそのまま、2フレットは少し低め、1フレットは曲によっては低めにします。

この低め、高めのフレット移動はほんの少しだけです。フレットの位置決め用に小さいドットがあけられている楽器が多いと思いますが、それがかすかに見えるようになる程度の移動です。よくバロック時代のフレッティングをしているのだと称して、見るからにフレット幅が平均律と異なる楽器で演奏している人がいますが、そういうフレッティングだと綺麗なハーモニーを矛盾なく出すことは出来ません。私は知識だけはあるがきちんと調弦できまる人ではありませんと言っているのと同じです。そういうのは音楽とは関係のない一種のファッションでしょう。

ここで行ったフレット位置補正は見た目では、よく見ないと平均律とは異なるとは分からないレベルです。なお、製作家さんが平均律でドットをつけていない場合もありますのでその場合は要注意です。