私は6歳頃から少しヴァイオリンをカジッっていたこともあり、左手のテクニックに関しては苦労をしたことがありません。もっともヴァイオリンは左手の技術の壁が来るレベルまではやっていませんですが。50年くらい前まで数年間ギターをやっていましたが、左手の押弦に関してできないことはなかったし、その後リュートを弾くようになっても左手で困ることはほとんどありません。
リュートを教えていて生徒の皆さんの左手の使い方に問題があることは分かるのですが、どうやったらそれが直るのかという方法はわかりませんでした。自分がどうやって身につけたがわかっていないので教えようがないのです。生徒さんが私のやっている通りにできればいいわけですが、いくら目の前で見本を見せても誰ひとりとしてきちんと出来るようになった人はいませんでした。でも最近になってようやく多分確かだろうという方法が見つかりそれを生徒さんに少しずつやってもらっています。
このようにエラそうなことを言っている私ですが実は左手で困ることが2つあります。ひとつは絶対的な指の長さに起因する押さえ方の場合。それなりに左指のエクステンションには自信があるんですが、あと3ミリ!というようなときはどうしようもありません。まぁ実際にはこういうケースに遭遇することはそう多くはありませんが。
もうひとつは、これは私だけかも知れませんが、私の手のシワというかスジというか(手相を見るスジです)それが結構深いのです。左手でバレをするとき、そのスジに弦がぴったりとはまってしまうときがときどきあります。こういうケースは1コースか2コースに限られますが、これらの弦は細いのでスジの溝にはまってしまうと少し余分の力を加えないと音がビビってしまいます。少しバレをずらすと指先が届かなくなったり人差し指の根元に弦が来て別の弦の音がならなくなったりします。ギターの弦は1弦でも太いのでこういう現象はありませんでしたが、リュートだと起こってしまうのです。
意識して強めに押さえればなんとかなることはなるんですが、その加減がなかなか微妙なので、そういう現象が起こった場合はポジションを替えることが多いです。バレをした方が押弦自体は楽なのですが、泣く泣く少し無理があるポジションで弾かなくてはならないのはつらいところです。