リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

BWV1006a (29)

2024年11月14日 11時40分43秒 | 音楽系

Loureの16小節目~最後までです。

この曲はスローですが、和音が多くなかなか手強いです。いくつかの和音は3コースがラのときよりも自然な押弦ができるようになっています。本編曲では自筆譜に記された音は全てそのまま弾くようにしています。そのために複弦のオクターブ弦を持つバロック・リュートならではの技術、バス弦のうちオクターブ弦のみを弾く、という技術を何カ所か使っています。ルーレの後半では21小節目の一番最後の和音の7コースや22小節目3拍目の8コースはオクターブ弦だけを弾きます。(タブの文字に下線があります)あと、22小節目の4拍目の11コースもオクターブ弦だけ弾きますが、下線を画面をカットするときに誤って切ってしまいました。

22小節目のオクターブ弦のみを弾く2箇所は、弾きにくい場合はバス弦も弾いても構わないと思いますが、21小節目の最後の和音はオリジナルの形で弾く必要があります。ギター編曲ではこの編曲における7コースのオクターブ弦の音=ソを1オクターブ上げて弾く処理が見られますが、そうするとこの1オクターブ上げられたソの音は次に行く場所がなくなってしまいます。バッハは常に完璧な仕事をしていますので、和音のフォームを勝手に変えてしまうのは禁物です。実際サウンドはかなり異なってきます。オクターブ上げてしまうとニセモノ感が漂ってしまいます。(笑)