リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

早くも

2008年01月16日 12時12分03秒 | 日々のこと
昨日の旧バッハ全集のDVD、発送処理の状況を伝えるメイルが逐一送られてきています。最新のではもう船積み完了(実際は飛行機でしょうが)となっていました。早いもんですねぇ。昔(70年代の始めのころです)ヨーロッパ各地からマイクロフィルムのコピーを注文しましたが、一番早い大英博物館(大英図書館)でも照会の手紙を出してからモノが届くまで1ヶ月でした。ゆっくりしているところだと数ヶ月というのも決して珍しくありませんでした。

今は決済もカードですから、あとは到着を待つだけです。どこにも出かけずに居ながらにして外国から楽譜が買えるというのは世の中便利になったもんです。昔ならこんな具合だったですね。

1.タイプライタを引っ張り出す。
2.英文の手紙をタイピング。
3.封筒に入れる。
4.郵便局の窓口に持っていき投函。
5.一ヶ月後にモノが来る。(大英の場合です)
6.invoiceに書かれている額を送金する。(郵便局から)
(70年代はじめは1ポンド700円台でした)

2回郵便局に行く手間が省かれ、手紙がEメイルにかわったわけです。でも肝心のモノが送られてくるという点に関しては同じですから、考えようによっては大した違いはないとも言えます。30年前も結構便利だったんですよ。その証拠に70年代はじめにヨーロッパ各地から資料を請求しまくりましたが、入手できなかったところは旧東ドイツの某図書館の資料1件だけだったですから。

全ての資料がダウンロードできるようになるのは技術的には可能ですが、図書館の方でそういう態勢を整えるかどうかはなんともわかりません。ま、大英図書館なんかは資料が膨大すぎるので経済性を考えるとそういうことはやらないでしょうね。「物質電送」が出来るようになれば画期的に便利になるでしょうが、でもこんな技術がもし可能になったら、楽譜が簡単に手にはいるようになったのでよかった、なんてレベルじゃなくて世の中ひっくりかえってしまうでしょうねぇ。(笑)

旧バッハ全集

2008年01月15日 20時06分26秒 | 音楽系
以前某サイトでバッハの楽譜がほとんど手に入りました。ソースは旧バッハ全集で、それらはもうフリーウェアとみなしてアップしていたんだと思います。最近アクセスしましたら、そのサイトは閉鎖を余儀なくされたようです。旧バッハ全集は19世紀に刊行されたもので、もう著作権云々というものではない感じがしますが、まだそれで商売している人がいるみたいで、そういう人たちから圧力でもあったんでしょうか。

以前大英図書館からいくつかマイクロフィルムによるコピーを買ったことがありましたが、そのフィルムの一番最初に大英図書館の版権を主張するコマがあります。そもそも今のような著作権の概念がない時代に大英図書館(大英博物館)に収蔵されたわけだし、現代の著作権の考え方に立っても例えばジョン・ダウランドにはもう著作権がないわけです。それをマイクロフィルムにコピーしたものに著作権を主張するのはちょっと変な感じがします。でも多分、わけのわからない著作権の概念を持ちだしてきて正当化するんでしょうけど。

旧バッハ全集でも100年以上前、ダウランドのリュートソング集なら400年以上前です。そういうものはもうすでに人類の共有財産でどんどんコピーしまくってよろしい!というべきです。もっともリュートソングのオリジナルが欲しいという人はそうは多くないでしょうが。(笑)

最初にあげました某サイトでバッハのカンタータの楽譜がダウンロードできなくなったので、新バッハ全集でも買おうかと思ったんですが、スタディエディションで10万です。買えなくはないお値段ですが、19巻もあって置き場所にも困ります。いろいろサイトを当たってみましたら、旧バッハ全集全部DVDに入って79.95ドル、送料込み98.9ドルというのがありました。資料としての信頼性や使いやすさは新バッハ全集の方がずっと上でしょうけど、ま、全部入って1万ちょいならまあまあか。アコギな商売してるなぁとは思いつつも注文してしまいました。ドル安だし・・・(笑)

冬はやっぱり

2008年01月14日 22時52分28秒 | 日々のこと
今日は寒かったですが、こういうときは温泉につかるのが一番。ということでまた愛妻と片岡温泉に行って来ました。実はこの三連休、毎日温泉三昧です。(三連休というのは、自由業になった今、ほとんど死語ですが(笑))

土曜日は一番近くのあさひの湯(三重県桑名郡朝日町)です。ここはまぁ無難というかある意味一番バランスが取れています。お風呂の種類も多いし、広いし、食事をするところもなかなかよいし、でもみんなそこそこって感じかな。(笑)

日曜日は初めて阿下喜温泉(三重県いなべ市北勢町)に行ってきました。ここは民間でやっているのではなくて市営のようです。国道421号線(ウチのすぐ近くを走っているんですが)それをずっと西の方に行き、もう藤原の山が目の前にせまるくらいのところまで行きます。地理的に見て地元の方の入浴がほとんどで、なんか全体にのんびりしてくつろげる雰囲気です。

お湯はかけ流しで加水はなしですが、源泉の温度が低いので、加温しています。お湯の質はなかなかよかったんですが、ちょっと消毒用のカルキ臭が強い感じでした。これがなければねぇ。市営なので、変な菌が繁殖したら困るということで多めに入れているのでしょうか。

で、本日はお肌がすべすべになる片岡温泉です。一時間たっぷりつかってきまして、もうほとんど湯あたり状態でした。(笑)でもやっぱり指先はすべすべになりました。ここがもうちょっと近くにあるといいんですけどね。(往復50kmくらいあります)でも回数券買ってしまいました。

アナログ盤をデジタル化

2008年01月13日 12時31分48秒 | 日々のこと
昔買ったLPレコードですが、もうレコードプレイヤーを捨ててしまって久しいので、死蔵状態です。今でも時折ジャケットからレコードを出してみる時があるんですが、いまだに帯電防止用のスプレーのにおいが残っています。レコードをかけるとき、丁寧にジャケットから取り出し、まずスプレーを一拭き、そしてクリーナーでほこりをすーっと拭き取ってからかけたものです。聴き終わってジャケットにしまうときは、またスプレーとクリーナーです。今CDをかけるときなんかこんな「儀式」なんてまったくナシですから、味気ないもんです。(笑)

こんなLPをデジタル化してみたいと前から思っていたんですが、そもそもプレイヤーがありません。いろいろ調べてみましたら、スタンドアローンタイプでCDに記録してくれるものがいくつか出ているようです。ちょっとかさばるのでアレなんですけど、買おうかなといくつか比較してみたら、ティアックの製品がいけそうです。でもお値段が69800円、うーんたかがLPのデジタル化でこのお値段、それにくっついているプレイヤーも大した性能ではなさそう。

そこでプレイヤー単体について調べてみました。最近はDJでターンテーブルを使う関係で色々面白いものが出ています。LPプレイヤーはオディオ機器として見るより、DJ用の楽器として見るべきなんですね、現代では。DJ用のターンテーブルはさすがに現代の機器だけ合って出力が色々用意されています。普通のフォノ出力だけでなく、USB,S/P DIF,LINEとなんでもありです。これなら直にコンピュータに接続というのも可能ですね。実際いくつかの機種では、専用のソフトが用意されていてデジタル化するのも楽そうです。しかもお値段的にティアックの製品より安く、多分プレイヤーそのものの性能(=音の質)も良さそうです。

ということで早まってオールインワン型を買わなくてよかったです。いろいろスペックを見た結果、Stanton T.90 USB が4万円くらいでそこそこの音も出そうです。

リュート音楽のひととき

2008年01月12日 13時12分38秒 | 音楽系
4月12日土曜日にリュート音楽のひとときシリーズの第5回コンサートをひらきます。このコンサートシリーズは、こぢんまりしたところでくつろいで聴いていただけるコンサートをということで、スイスから帰国してから始めたものです。

当初は年2、3回開催というつもりでしたが、いくつか講座やコンサートが重なってしまい、前回の第4回からは約1年ぶりとなります。このコンサートで扱う音楽は、もともと一般的にはマイナーなリュート音楽のなかでもあまり演奏されない曲も演奏するため、簡単なトークとパワーポイントによるプレゼンも行いながらすすめていっています。

今回はテオルボをフィーチャリングして、ド・ヴィゼ、ピチニーニ、ヴァイスの作品を演奏する予定です。フランス、イタリア、ドイツが勢揃いですね。(笑)バロックリュートへの橋渡しはド・ヴィゼです。彼のバロックリュートのための作品も演奏する予定です。彼のバロックリュート作品って、コンサートで取り上げるのはほんとに久し振りで、何か妙に楽しみです。(笑)

昨日チラシを作りまして今日会場のミューズに置いたりレッスンに来た生徒の皆さんに宣伝したりしました。このコンサート、定員を20人くらいにしたいので、あまり経費をかけるわけにはいきません。家内に写真をとってもらい、それをフォトショップとイラレを使って制作しました。もっとも私の場合チラシのデザインをするのが好きなのでリサイタルのチラシでも自分で作ってしまいますが・・・

ぜひみなさまのご来場をお待ちしております。ご予約は、ミューズ音楽館(052ー910ー6700)へ。

アメリカ大統領予備選挙

2008年01月09日 10時56分44秒 | 日記
アメリカ大統領の予備選挙、見ててなかなか面白いです。日本時間の今日はニュー・ハンプシャーの予備選です。もう投票が締め切られた頃だと思いますが、CNNで民主党はオバマ氏とクリントン氏が接戦だとやってます。共和党ではジュリアーニ氏が10%に満たない投票率で苦戦だそうです。氏は前回のアイオワ州でも惨敗(氏の陣営の話ではここは捨てたということらしい)で今回のニュー・ハンプシャーの予備選でもこのような状態だとちょっと厳しいですね。

ジュリアーニ氏が大統領になるとクラシック・ギターファンは喜ぶかも。副大統領がソル氏、大統領補佐官がアグアド氏だったりして。(笑)むかしバック・トゥ・サ・フューチャー1でこんなやりとりがありました。

「1985年の大統領は誰だ?」
「ロナルド・レーガンだよ」
「ロナルド・レーガン?ばかな!じゃ副大統領はジェリー・ルイスか?」
・・・

1955年に行ってしまったマーティが1955年当時のドクと話をする場面です。(会話はうろおぼえで大体こんな感じです。)

2038年制作のバック・トゥ・サ・フューチャー4ではこんな会話が。

「2008年の大統領は誰だ?」
「ジュリアーニだよ」
「ジュリアーニ?じゃ、副大統領はソル、補佐官はアグアドか?ホワイト・ハウスギタートリオか?」

でも、どうもジュリアーニ氏のメはなさそう。(笑)

クラシック音楽関連ドラマ(笑)

2008年01月06日 22時35分17秒 | 音楽系
新春早々「のだめ」を見てしまいました。正月特別番組ということで2夜連続のドラマです。毎週やっていたものは随分前に終了しました。ちょうど主人公ののだめがパリに留学するというところで放送は終了しました。ここで終了したのは、パリを舞台にしたら制作経費がかかるからだろうと勝手に推測したりしていたんですけどね。(笑)

今回はパリやプラハなどのロケをふんだんに含んだ豪華バージョンです。オリジナルのマンガの方は舞台がどこになろうと経費上の問題はありませんが、映像化すると事情はがらっと異なってきます。オリジナルと映像化した場合とでもう一つ大きな違いがあります。それは、作品で扱われている音楽に実際に音をつけなくてはいけないということです。

のだめってマンガで読んでいるとコミカルな部分が多いと感じるんですが、ドラマで見るとバックにいつもクラシック音楽が流れているせいか、ちょっとシリアスすぎる雰囲気が出てきてしまうんですね。これはマイナス要因のようにも思えますが、これを機会にクラシックのすそのが広がる?いえいえ、こういうのって結局、のだめオーケストラのCDを出したりして商売人がもうけるだけなんですよね。(笑)

のだめのテレビでいつも感心するのは、楽器の弾きまねがなかなか上手なことです。よく見ると、弾けないことが見えてしまうんですが、役者さんに対する指導がいいのと巧みなカメラアングルのお陰で、ホントに演奏しているみたいに見えます。

弾きまねといえば、NHKで放送している「北京バイオリン」の小春はもっといけてます。左手なんかホントに弾いているみたいにきれいな指使いですねぇ。どっかのオケのはしっこで弾いている人よりはきれいな指使いですよ。多分この役者さんは結構弦楽器が弾けるんでしょうね。

新春読書

2008年01月04日 16時59分01秒 | 日々のこと
今年の読み始めの本は、大野晋著「日本語の源流を求めて」です。何を隠そう、私は大学生の頃、リュート音楽以外に言語学にもすごく興味がありまして、環境が異なっていれば今頃は言語学者をしていたかもしれません。(笑)

で、その関係の一般書をちょこちょこと読んだりしていましたが、その中に大野晋さんの著書「日本語の起源」がありました。この本は現在では新版が出ていますが、私が読んだのは旧版の方です。

著者の大野晋さんは今年89歳になられる方で、「日本語の起源」を書かれたときすでに結構な年だったと記憶していましたので、本屋で「日本語の源流を求めて」のまえがきを読んだとき驚きました。

---引用
私は今年八十八歳になった。八十八といえば老翁という言葉があてはますだろう。しかしこの老人は、まだ少年であったころの「日本語とは何か」という幼稚な問いを今も心に懸けて生きている・・・
---引用おわり
(「日本語の源流を求めて」は2007年8月上梓です)

うーん、あれからずっと研究を積み重ねられていた訳です。何年か後、新聞だったかなんだったか忘れましたが、氏の研究について否定的な内容の記事を読んだこともあり、もうすでに過去の人だと思っていました。

まだ全部読んでいませんが、はじめの部分に興味深い記述がありました。

---引用
タミルごと日本語との場合でも、私は研究の初歩の段階では「同系語」という術語を使い、「日本語・タミル語の同系」とみずからも言い、世間でも「日本語のタミル語起源説」という言い方をした。しかし実は日本語とタミル語の関係は、シュライヒャーが図に書いたような関係ではない。タミル語が北九州に到来するまで、日本語とタミル語は何の関係もなかった。・・・
---引用終わり

という感じで、優位な文明の言語(タミル語)に当時の縄文人がしゃべっていた言葉がのみこまれ、いわゆるヤマトコトバが成立していった、と氏は説いています。なかなか興味深く、かつ説得力のある論だと思います。私が学生の頃は、氏の研究の初歩の段階で「日本語の起源」を読んだわけです。そのとき読んだ印象ではなんかちょっと無理があるなぁという感じでした。それ以降私は言語学からは離れ、もっぱらリュートオンリーでしたので、氏の日本語の起源に関する説は私の中ではそこで止まっていました。

でもその後30年くらいの間で初期の説からずいぶん研究が進み、説得力のある説になって来たみたいです。この本は決して専門書的な書き方ではないので、どなたでも気楽に読み進めることができると思います。言語に興味のある方にはおすすめ。岩波新書です。

ことしは大須に

2008年01月02日 17時30分28秒 | 日々のこと
元旦は年越し参りをしてあとはちょっと近所に出かけるだけですが、今年は娘とそのカレ(S君)が来ていますので、4人全員で名古屋の大須に出かけました。外に出たとき、みぞれが降ってきて一瞬迷いました。車で出かけるという手もあるし、近所の温泉にするか・・・と一瞬思いましたが、でもやはりこの際迷わず寒い中大須に電車で出かけることに。

大須はコンピュータ街であったころは毎週のように行っていたんですが、最近はコンピュータ関連の店が激減してちょっとさみしくなりました。代わりに若者系の衣類などの店が増え、それらが昔ながらの店と混在している町並みはなかなかいいもので、名古屋市内では大好きなスポットのひとつです。S君も日本的なものが一杯の大須の商店街は大いに気にいっていました。

大須観音の近くには屋台がたくさん出ていました。S君はいたく気に入り、イカ焼き、広島焼き、串カツなどおいしそうに食べていました。その屋台の向こうをふと見ると、大須演芸場が目に入りました。前から行ってみたいなとは思っていましたが、客が少なくこっちも気恥ずかしい感じなので、今まで入ったことがありませんでした。今日は正月なのでにぎわっているだろうということで、入ってみました。S君は日本語がわからないので、ちょっと可哀想かなと思いましたが、結構楽しんで見ていました。

大須演芸場の中は思っていたより狭かったですが、それでもがらんとした感じで客の入りはいまひとつ。午前中の公演は人がたくさん入っていたようですが・・・ここでリサイタルをやったら意外と面白いかも。(笑)

演目は雷門幸福さんの落語がおもしろかったです。なんでも名古屋在住の落語家は4人しかいないそうで、そのうちのお一人。名古屋にプロの落語家がいるというのは全然知りませんでしたが、芸所といわれていた名古屋ですから、昔はもっといたのかも知れません。こういう少数派を見ると俄然応援したくなります。(笑)まだお若い方でしたので、これからもぜひがんばってほしいですね。