リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ドレスデン写本のデジタル化(1)

2020年11月10日 19時51分56秒 | 音楽系
ヴァイスの重要な作品が沢山収められているドレスデン写本を修正加筆して自費出版したのは1985年、ヴァイス生誕300年の年でした。当時の東ドイツに在ったドレスデンの図書館に手紙を書いてマイクロフィルを送ってもらいました。私の記録には1975年11月27日に手紙を出し、同年12月18日に返事が来たとあります。

その返信を12月20日に出すと、翌76年1月19日に返事がきます。ドレスデンの図書館にはHeinichen(Mus2398-v1)とFasch(Mus2423-v-1)とWeiss(Mus2841-v-1 Bd.1-6)の楽譜マイクロフィルムコピーをお願いしたのですが、Heinichenに関しては傷みがひどいのでフィルム化不可の返事を1月19日にもらっています。

そしてFaschのマイクロフィルムだか一足早く、3月8日に到着しました。フィルム代金は12.95マルク、これを19日に送金したとあります。ヴァイスはファッシュの5日後、3月13日に到着しました。代金は30.62マルク。

当時の東ドイツへは直で送金ができず、私は郵便局から送金しましたが(postal order)、送金はロンドンを経由して西ベルリンに行き、西ベルリンから東ベルリンの銀行からドレスデンの銀行に行って図書館に行くという大変複雑な経路をたどっていました。こういう事情から、図書館の方からもお金でなくても指定した本があればそれでもいい、というようなことが手紙に書かれていました。指定した本の中で覚えているのは、ジョン・ケージに関する本があったのは覚えています。

(つづく)

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(27)

2020年11月09日 21時27分42秒 | 音楽系
今回は38~51小節です。

38小節目からは35小節目から始まったかけあいが続きます。緑で囲んだ部分は、前回も書きました、2度から3度に解決する美しく印象的な部分です。



41小節目でヴァイオリンパートはそのかけあいフレーズから離れて新しいフレーズになります。41小節目でバスがない「ソロ」の部分が終わり、次の42小節目からはまたバスが入ります。最後の「決めフレーズ」はリュートパートの43小節目、赤で囲んだフレーズ、これを44小節目のヴァイオリンが引き継ぎ(赤で囲んだ部分)曲を締めます。

後半の冒頭はリュートのソロです。定石通り属調に転調してハ長調です。転調のことはあまり書いていませんが、この曲はあまり沢山転調をしていません。第4楽章では経過的にニ短調に寄り道していますが、18小節目からハ長調になってからはずっとそのままで前半を終えています。



46~51小節のヴァイオリンパートに何か書こうかと思いいくつかのパターンを考えてみましたが、どうもリュートパートに干渉してしまいがちになるので、ここは全休にしました。

(つづく)

キャンペーン

2020年11月08日 09時51分53秒 | 日々のこと
最近はコロナ対策もありいろんなキャンペーンで溢れています。結果的にはユーザーに還元されることになるのですが、その方式は、直接値引きする、ポイントを付与する、賞品を付与する、などがあります。

ユーザーとしては直接値引きしてもらうのが一番ありがたい味を感じる思います。以前消費増税の時のキャッシュレスポイント還元事業のとき、コンビニではポイントを付与するのではなく、直接2%引きにするという「演出」をしていました。これは一時的にコンビニがその分を負担するのでしょうけど、なんかこっちとしてもお得感を感じました。

還元される割合は、Go to Travelが35%で、こちらは破格でしょう。しかもポイントではなく決済の段階で値引きしてもらえます。さらに何千円かの地域振興クーポンもありますから、大盤振る舞いです。

ただこの地域振興クーポンは、携帯で自分のアカウントを開き、そこに表示されるQRコードを宿に提示しなければならないようで、スマホやPCが苦手の方には難しいかも知れません。紙のクーポンもどっかで配布されるのかな?それにもしその宿が大変な山奥で、ネットに繋がらないところだと、どうやって提示するのでしょう?

マイナポイントは25%、桑名市がやっているPayPayのポイント還元も25%でこれもなかなかのものです。ただ桑名市のは地域振興が目的なので大手のチェーンは扱っていないようです。

あと、これは三重県の北部地域に限られますが、桑名市に工場がある小杉食品の都納豆のクーポン券を200枚集めると、3千数百円相当の納豆セットが貰えます。ア〇タの火曜特売だと都納豆は88円(税込み)で買えますので、17600円で2割相当の品が頂けるわけです。結構な還元率です。これはコロナ対策ではなく常時やってます。

ポイント、ポイントって言っているとついついお金を使い過ぎてしまう(納豆の場合は納豆の食べ過ぎになる)ので、注意は必要です。そもそもこれらは経済対策なので使い過ぎるようにさせることが目的ではありますが。

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(26)

2020年11月07日 13時43分48秒 | 音楽系
引き続き第4楽章、今回は31~37小節です。



赤で囲んだモチーフはこの曲で多くの箇所で使われています。その先35小節目にも出てきます。その35小節目からは新しいフレーズが始まります。ここからはしばらくバスがありませんが、とても印象的な部分です。このフレーズは後半の終わり部分でもまた出てきます。オリジナルのタブでは35小節目が全休符になっていますので、リュートパートの36、37小節目のフレーズを35小節目から始めて交互にこのフレーズが現れるようにしました。(青で囲んだ部分)

ただヴァイオリンパートにリュートパートをそのまま書いて上手くいくというほど甘くはありません。ヴァイオリンパートの36小節目とリュートパートの37小節目を比べてみてください。ヴァイオリンパートはソ→ファ、リュートパートはソ→ミで、少し異なっていますが、ここがミソです。このシーケンスにすると36小節目の冒頭が2度になり(緑で囲んだ部分)次に3度に解決するというパターンになりとても美しいです。

シャープマスク

2020年11月06日 12時12分48秒 | 日々のこと
シャープマスク抽選販売事務局からメールが届きました。

【第28回ご当選のお知らせ】シャープ マスク MA-1050(ふつうサイズ)ご購入手続きのご案内

確かシャープマスク発売開始のときに応募したのですが、やっと当選したんですね。一旦応募したらずっと続けて抽選するということでしたから、28回目の抽選でようやく当選したわけです。シャープさんもきちんと続けてらっしゃるのですね。なんでもこれまで応募した人の累計数が約920万人に達しているそうで、毎週の抽選の当選倍率は100倍を超えているそうな。

価格は50枚入りで3200円余り、ここに600円の送料が加算されますと一枚当たり70円を超えますが、28回目の抽選で当選でも結構ラッキーということだし、三重県内で作っているということもあり注文いたしました。

当選通知メールには、「偽の当選通知メールから偽サイトで個人情報やクレジットカード番号などを盗み取ろうとするメールの発生が予想されるため、第2回目の抽選販売の当選通知メールより、購入サイトへのリンクの記載を控えることにいたしました」とありましたが、ここでも悪いことをするヤツらはいるんですねぇ。

メールに記載されている通り、シャープのサイトに入って必要事項を記入してすると認証コードのメールが送られてきます。それをまた入力して、あとはカード情報を入力で注文完了。1週間くらいで届くそうです。

アメリカ大統領選のさなかに

2020年11月05日 12時19分16秒 | 日々のこと
混迷を極めているアメリカ大統領選挙、一夜あけてみると(日本時間で)バイデン氏がかなり優勢になっていて、あと一歩で過半数というところまで来ています。過半数を取られたらトランプ氏は訴訟を起こすみたいで、混乱はまだしばらく続きそうです。もう少し票が開いてみないとわかりませんが、バイデン氏勝利と見る向きも増えているようです。

こんな中、中国が海上警備を担う海警局に関する法律の草案を公表しました。その中に「海警局の停戦命令などに従わない場合は武器の使用を認める」「人工島を守る」というのが明記されているそうです。これって、尖閣諸島と南沙諸島での行動に関係することですよね。

つまり日本の漁船が尖閣諸島付近で操業→中国の海警局の船が「ここは我が国の領土。出ていきなさい」と言ってきて、もし日本漁船がそれに従わなければ銃撃する、あるいは日本漁船が少しでも近づこうものならいきなる銃撃になる、というようなことですよね。

また「人工島を守る」というのは、他の国が南シナ海はみんなの海や!と言ってきても、中国は「ここは我が国の領海。法律に書いてある」なんて言うんでしょう。

これらがバイデン氏が優勢だと見越したタイミングで出てきたのがなんか不安な近未来を感じさせます。民主党は東南アジアにはほとんど関心がなく、オバマ政権のときに北朝鮮のミサイル開発、尖閣諸島問題、南シナ海人工島建設すすんでいたのに、アメリカは全く関心をよせずこれらの進展を許してしまった事実があります。中国はアメリカが民主党政権になりそうだと見越してさっそく手を打ってきたのでしょうか。まぁ仮にトランプが奇手を弄して再選された場合でも、この中国の動きは日本にとって大変大きな意味を持ちます。

今国会では学術会議の問題で野党が追及していますが、この問題は早く決着をつけて安全保障の問題を議論すべきです。こちらの方がはるかに重要です。コロナ禍蔓延初期の頃も、サクラやモリカケの話ばかりで初動が遅れてしまいました。野党の追及は国益にかなっていません。今日の国会ではこの話は出るのでしょうか。

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(25)

2020年11月04日 13時57分39秒 | 音楽系
今回は第4楽章の13~30小節です。



13小節目から始まっているシーケンスが15小節目までつづき、16小節目に異なるモチーフを導入して17小節目で流れが小休止。16小節目に導入するモチーフは、フーガやこの第4楽章でよく使われる、八部音符ひとつと十六分音符ふたつからなる「タンタタ」という感じのリズムモチーフです。

18小節目からはリュートのソロです。この部分は、ヴァイオリンパートは黙ってもらうという選択肢もあります。反対にあまり音を書くとせっかくのリュートの音が埋没してしまいます。ここではヴァイオリンは最小限の音を出してもらうことにしました。



このくらいならお休みでもいいかもしれません。しかし25小節目からヴァイオリンのメロディが入ります。それが唐突にならないように、あえてリュートソロの部分にも少しですがヴァイオリンに音を出してもらうことにしました。



25小節目に導入されたヴァイオリンのフレーズは26小節目のリュートパートに引き継がれ、そればまたヴァイオリンに引き継ぐような構成にしました。(赤い線で囲んである部分)29小節目からヴァイオリンの経過句が始まります。なぜこのような経過句にしたか・・・それは秘密です。(笑)

(つづく)



某新聞報道だとこうなる---ワチラロンコン国王インタビュー

2020年11月03日 20時13分02秒 | ウソゆうたらアカンやろ!他【毒入注意反論無用】
昨日エントリーしました、タイ国王への突撃インタビューのことですが、今日の朝刊にも記事が出ていました。



これは名古屋に本社がある某新聞の記事ですが、読んでみた印象とビデオを見た印象は随分異なります。特に記事にある「・・・その際、英放送局のリポーターが『ここにいる人はあなたを愛しているが、街頭で抗議する人たちには何と言葉をかけますか』『譲り合う余地はありますか』と質問。国王は『等しく愛している』と三回繰り返し、『タイは譲り合いの国だ』と答えた。・・・」の部分。

記事ではきちんと記者に向かって訴えたみたいに読めますが、ビデオでは「等しく愛している」の前に「ノーコメントです」と言っています。そのあとお妃の「アハっ」がありますし、印象的にはあまりきちんと答えようとはしていない感じがします。

それから記事ではリポーターが英放送局となっていますが、確かアメリカのCNNのリポーターだったと思いましたので、調べてみましたらCNN(米国)とチャンネル4ニュース(英国)の共同インタビューでした。インタビュアーの英語はあまりイギリス風ではなかったです。CNNのニュースサイトでは「・・・ワチラロンコン国王は「ノーコメント」としたうえで、「私たちは全ての人を同じように愛している」と繰り返した。・・・」とほぼ正確に伝えています。(お妃の「アハっ」はさすがに記事になっていませんが)

ワチラロンコン国王もナンですが、名古屋に本社がある某新聞もナンですねぇ。

皆、等しく愛している

2020年11月02日 13時39分04秒 | ウソゆうたらアカンやろ!他【毒入注意反論無用】
今日のネットのニュースで、タイのワチラロンコン国王へのインタビューが出てました。今はタイに帰っているんですね。

ビデオクリップの字幕ではお妃の「おことば」が訳されていませんので、全体像を再現してみました。

記者「王室改革を求めて抗議している人たちが道にあふれているが、その人たちに何かおっしゃりたいことはありますか?」
王「ノーコメントです」
(腕をくんでいるお妃さんが「アハっ」と軽く笑う)
王「みなさん全員を同じように愛しています」x 3
記者「譲り合いの余地はありますか」
王「タイは譲り合いの国です」
(王は妃の方をちらっと見たあと立ち去る。妃も何か記者に言いその場を立ち去る)



原語(英語)ではこんな感じでした。

Interviewer: "What do you say to the protesters to be on the street who want reform?"
King: "I have no comment. "
Queen: "Aha!"
King: "We love them all the same. We love them all the same. We love them all the same."
Interviewer: "Is there any room for compromise, sir?"
King: "Oh, Thailand is a land of compromise."
Queen: "#$%#$%@."

「みなさん全員を同じように愛しています」というのも3回も続けていうと何かウソくさいですねぇ。文字にするときちんと丁寧な感じですが、そもそも記者の問いかけに対して初めにでたことばは「ノーコメント」ですから、「愛している」はあと付けであまり誠意はありません。「ノーコメント」が本音です。それに腕を組んでいる元客室乗務員で何番目かのお妃が隣で「アハっ」なんて言ったりしています。報道もそういうところをきちんと報道しなくちゃ。

タイのワチラロンコン国王は、普段はドイツのガルミッシュ=パルテンキルヒェンという、ミュンヘンの南西70kmくらいにある小さな町のホテルを借り切って側近たち何百人(+愛人?)と生活しているそうです。バイエルンアルプスが見渡せる風光明媚なところらしいです。ちなみに私がCDの録音をしたロットシュテッテン=ナックという町からは約180km、ウームなんか身近に感じてきました。(笑)

国王が国内にいないなんて、いったいどうなってるんでしょうねぇ。この国王、即位前から素行があまりよろしくないということは聞いていましたが。タイを権威と威厳で治めていたプミポン前国王とは対照的です。ちゃんとした側近がいなかったのでしょうか。気になる国です。

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(24)

2020年11月01日 16時19分05秒 | 音楽系
今回から最終楽章の第4楽章に入ります。



冒頭のヴァイオリンパートはどんなメロディであるべきかは、この楽章の後半冒頭がヒントになります。後半冒頭のリュートパートをそのまま前半冒頭に書きますと、ぴったりです。問題は次からです。1~7小節はまだリュートのパートに少し動きがありましたが、7小節目からは完全に通奏低音モードです。ハーモニーの流れを見ますと、2小節単位のシーケンスがあることが見て取れます。そこで次の赤い線で囲んだフレーズを設定してみました。



このシーケンスが12小節目まで続き、13小節目からは新たなバスの動きになりますので、別のフレーズが必要になります。

(つづく)