19歳で名古屋に越して来たころ、私は痩せていて食欲がなく、酒は一滴も呑めなかった。
昼飯がトースト一枚で済んでしまうほど食が細かった。酒が呑めない代わりに甘い物には目がなかった。名古屋で初めて小倉トーストに出会った。今でも名古屋の小倉トーストは、他地域の人に「トーストにあんこ?」と気味悪がられるが、私には違和感はなかった。
喫茶店で好んで小倉トーストを食べた。それで一食分が済んでしまった。
味噌煮込みうどんは、慣れるまでに数年を要した。うどんが硬く、最初は茹で方が足りないのかと思った。しかし、それが本来の味噌煮込みうどんだと分かってからは、こんなにおいしい物はないと思うようになった。赤い八丁味噌がよいのだ。古里の東京では赤味噌は使用しない。
赤味噌のほうが白味噌よりおいしいと思ったから、名古屋の味噌カツも抵抗なく食べられた。ただし、食が細かった私は、よほど調子が良いときでないと味噌カツ定食を一人前は食べ切れなかった。
最近、名古屋めしとして有名になった鶏の手羽先やあんかけスパゲティーは、まだ影も形もなかった遠い昔の話である。
昼飯がトースト一枚で済んでしまうほど食が細かった。酒が呑めない代わりに甘い物には目がなかった。名古屋で初めて小倉トーストに出会った。今でも名古屋の小倉トーストは、他地域の人に「トーストにあんこ?」と気味悪がられるが、私には違和感はなかった。
喫茶店で好んで小倉トーストを食べた。それで一食分が済んでしまった。
味噌煮込みうどんは、慣れるまでに数年を要した。うどんが硬く、最初は茹で方が足りないのかと思った。しかし、それが本来の味噌煮込みうどんだと分かってからは、こんなにおいしい物はないと思うようになった。赤い八丁味噌がよいのだ。古里の東京では赤味噌は使用しない。
赤味噌のほうが白味噌よりおいしいと思ったから、名古屋の味噌カツも抵抗なく食べられた。ただし、食が細かった私は、よほど調子が良いときでないと味噌カツ定食を一人前は食べ切れなかった。
最近、名古屋めしとして有名になった鶏の手羽先やあんかけスパゲティーは、まだ影も形もなかった遠い昔の話である。