高校時代に国語の教師Uに、批評と評論は違うと教わって、なるほどと思った。
絵なり音楽なりの批評とは、それが良いとか悪いとかを論じるものである。それに対して、評論とは、対象物を借りながら自分の思想を述べることだという。
当時の私は、その辺の区別が曖昧だったし、現在の論壇を見てもまだ曖昧である。
教師Uに教わったように、批評や評論を見ると、一層クリアに論点が分かる。私の読書生活を一段階引き上げてくれたUの指摘だった。
Uは左よりの小説を書いており、一度は芥川賞候補になったこともあった。高校の教師をしていたのは、小説では食えなかったからだろう。だが、Uは左翼的な思想を我々生徒に吹き込むことは一切なかった。
あれから半世紀たつ。ついにUは芥川賞を取れなかった。そして、Uの消息を知る同級生はいない。
絵なり音楽なりの批評とは、それが良いとか悪いとかを論じるものである。それに対して、評論とは、対象物を借りながら自分の思想を述べることだという。
当時の私は、その辺の区別が曖昧だったし、現在の論壇を見てもまだ曖昧である。
教師Uに教わったように、批評や評論を見ると、一層クリアに論点が分かる。私の読書生活を一段階引き上げてくれたUの指摘だった。
Uは左よりの小説を書いており、一度は芥川賞候補になったこともあった。高校の教師をしていたのは、小説では食えなかったからだろう。だが、Uは左翼的な思想を我々生徒に吹き込むことは一切なかった。
あれから半世紀たつ。ついにUは芥川賞を取れなかった。そして、Uの消息を知る同級生はいない。