院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

点滴というおまじない

2012-08-30 06:36:17 | 医療
 昔は病院で沢山薬をもらうと、「こんなにもらった」と喜ぶ患者さんが多かった。だから、医者はビタミン剤や胃薬など、緊急性のない薬を追加してカサを増やして、患者さんの期待に応えた。

 今は、さほど患者さんは喜ばなくなった。それにビタミン剤は、口から普通に食事をしている人には必要なく、健康保険も適用されなくなった。

 その替りと言うべきか、病院で点滴をしてもらうと喜ぶ患者さんが非常に多い。点滴は滋養強壮にそんなに効くのだろうか?

 おおざっぱに言えば、点滴の中身はポカリスエットと同じである。血管からいれるのは、口から飲むのと同じことである。口から飲んだほうが、血管から入れるよりも感染のリスクや心臓にかかる負担が圧倒的に少ない。だから、点滴は飲んだほうがよいのである。

 でも、口から点滴液を飲んで喜ぶ患者さんはいない。だから医者は点滴をする。点滴をすると病院は950円儲かる。点滴液の利ざやも儲かる。口から飲んだらゼロ円だ。

 患者さんが求める限り点滴は続くだろう。点滴には脱水症の治療以外には何の効果もない。それなのに、患者さんは元気が出たような気分になる。または、十分に栄養補給がなされたと錯覚する。

 点滴は大いなる現代のおまじないである。