院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

念仏とサプリメント

2012-08-28 04:56:28 | 心理
 経典には難しいことが沢山書いてある。やれ「実体」には何通りがあるとか、やれ「空」とはどのような状態であるとか、かなりの教養人でも理解に難渋するような内容である。

 平安時代の庶民が、このような思想をあまねく理解できたとは到底思えない。それだからかどうか、法然は念仏を称揚した。「南無阿弥陀仏」と唱えていさえすれば極楽往生できると説いた。

 これはすばらしいアイデアである。禅などの修業はせず、教義を勉強する必要もなく、ただ念仏を唱えていさえすればよいのだと、法然は主張した。

 法然は屁理屈をこねて念仏を正当化した。正当化されて、お墨付きがある教えは、庶民には絶大な力がある。この教えは庶民をどれだけ救ったか分らない。庶民は熱心に念仏を唱えたことだろう。

 このことと、現代のサプリメントは似ていはしまいか?サプリメントを飲んだ人は元気になったような気持ちになる。そして、明日への希望が湧いてくる。これはサプリメントの功徳である。

 サプリメントは、かつての念仏が現代的に姿を変えて現れたものだろうと、私は考えている。