院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

「合唱」は日本文化に浸透しているか?

2012-12-01 05:28:30 | 音楽
 わが国にみんなで歌を歌う「合唱」という文化はあったのだろうか?

 少なくとも私は、幼少時も今も、誕生会でハッピーバースデイの歌を合唱するのが嫌だ。歌うのも歌われるのも恥ずかしかった。

 一時「歌声喫茶」というのが流行ったけれども、もちろん行ったことはなく、やがてすたれてしまった。日本人が合唱するというところに、そもそも無理があったのではないか?

 謡や長唄は集団で歌われることがあるが、あれはあくまでも音量を大きくするための「独唱の集合」ともいうべきものである。

 ちょっと見渡すかぎり、わが国の古典音楽や民謡に合唱はないのだ。

 「仰げば尊し」は明治時代の文部省唱歌である。学校制度ができる以前には校歌というものは見あたらない。だから、卒業式の合唱や、校歌斉唱は明治以降の発明だと思われる。

 音楽的に言えば、合唱と斉唱は違うらしいが、いずれにせよ、みんなで歌うことである。江戸時代に合唱団はなかっただろう。合唱という歌の形式は西洋由来だから、日本人にまだ浸透していないのだと考えられる。

 洋服が浸透したのはつい最近のことである。私の祖母は一年中和服だった。私が幼いころの寝間着は着物だった。パジャマはまだ珍しかった。

 合唱が日本文化に本当に浸透するには、もう少し時間がかかるだろう。「ママさんコーラス」は私にはまだ不自然に見える。