院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

津波の歌

2012-12-11 05:34:11 | 教育
 東北地方で園児に「津波の歌」を覚えさせていると報道された。小さい時から防災意識を育てているとの好意的な報道だった。

 歌は「たかいところへ、にげましょう」、「いのちはじぶんで、まもりましょう」という内容だ。私は疑問に思った。園児にはまだ物事の全体を見ることができない。そんな園児に、津波は怖い、死ぬぞ、逃げろと叩き込むことに、どれだけ意義があるのだろうか?

 この歌は園児をいたずらに恐怖させるだけではないか?大人は津波に恐怖した。今後も恐怖しなければならないだろう。だが、園児にこの歌を教えることは、大人の恐怖を子供に分け与えることによって、大人の恐怖を軽減させているだけではないか?

 私が幼少のころ、衛生教育が盛んだった。学校の廊下にトラコーマ(眼病で眼球が赤くただれる)のカラー写真や、骨軟化症でぐにゃぐにゃになった全身骨格の写真が貼ってあって、小学1年生の私は恐怖した。

 あのときの恐怖が、その後の私の衛生観念をはぐくんだとは思われない。与えられたのは、ただ恐怖のみだった。

 トラコーマの写真も疑問だが、何十年何百年に一度来るか分からない「津波の歌」も疑問である。いずれも大人の自己満足ではないか?