院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

消えた年金問題

2012-12-09 02:19:05 | マスコミ
 平成24年12月5日(水)の「報道ステーション」で「消えた年金」に関する報道をしていた。

 90歳近い古老(男性)の年金記録が消えているという。古老が戦時中に、ある会社に30ヶ月勤めた。会社との口約束で彼の年金負担金分は支払われていた。だが、現在その記録は残っていない。

 古老は執念で戦時中に消えた年金記録を捜したが、ない。古老の友人も同じような目にあっており、戦時中の年金記録が消えていたが、その記録を回復できないまま死去した。さぞ、くやしかっただろうと、その古老は涙を流した。

 「報道ステーション」は、このたびの「消えた年金」問題で、なぜこのようなドキュメントを放送したのだろうか?戦時中の混乱と、ここ数年問題になっている5000万件の「消えた年金」は無関係である。

 「消えた年金」の問題は、あくまでも昭和50年ころの年金帳簿のコンピュータ化が行われたときに起こった。当時、日本人でキーボードに慣れている人は一部だった。慣れない人々が年金帳簿をキーボードで入力した。慣れていないから入力ミスをしたのではない。やりたくなかったから仕事がおざなりだったのだ。

 入力業務をさせられた組合は、一定のストローク数を打ったら10分休憩させろと迫って、実現させた。いやいややっていたから、人名の読み方が分らないものは、テキトーに読んでひらがな入力をするという信じられないような仕事をした。ときには人名の入力さえ省くことさえがあった。

 現在、そのおかげで帳簿とコンピュータデータとの突合作業をしいられて、3000億円かかってもまだ半分しか同定できす、人名がないのだから残りは絶望的だという。

 だから、「消えた年金」問題はひとえに入力者(組合)の怠慢によるものであり、戦時中の混乱とは何の関係もない。つまり、今回の「報道ステーション」の報道は視聴者を混乱させ、真実を分らなくさせるだけである。「報道ステーション」のプロデューサーは、いったい何を間違えたのだろうか?それともたんに無知なのだろうか?