院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

生い立ちを重視しなくなった裁判所

2014-08-29 00:10:27 | 社会
 (合同出版刊。)

 最高裁判所がホリエモンを執行猶予にしなかったとき、村上ファンドの村上さんはなぜ実刑を免れたのか不思議に思いました。たぶん、微妙に罪状が違ったのでしょうが、ホリエモンに実刑判決が下ったときには、私は最高裁判所でさえ世論に迎合するのかと失望しました。ホリエモンは自家用ジェット機に美女を乗せて飛んだりして、庶民の反感を買っていたからです。

 それはさておき、もう数年前になりますが、永山則夫死刑囚の死刑が執行されました。大むかしの事件ですが、19歳の永山は命乞いするタクシー運転手を初め、計4人を拳銃で殺害したのでした。

 上の本は私は未読ですが、永山がいかに貧困ですさまじく不幸な幼少時代を送ったかが書かれているそうです。死刑囚だった時期に書かれたもので、この本はそうとう売れました。

 読者の中には、これでは殺人鬼になっても無理はないと思った人が多かったようです。しかし、裁判所は不幸な生い立ちはともかく、極刑は免れないと判断しました。いちいち過去にさかのぼっていたら、あらゆる犯罪者にそれなりの理由があることになってしまうからでしょう。

 「なにかい?文章がうまければ罪が免れるのかい?」と揶揄したのは、ビートたけしさんでした。彼が人気があるのは、しばしばこのように本質を突くからではないでしょうか?

 永山の生い立ちをほとんど無視した裁判所が、村上さんを実刑にしないのに、似たような罪状のホリエモンには実刑を言い渡したので、そのアンバランスさに私は失望したのでした。この失望が的外れなのかどうか、法律にも証券市場にも暗い私には、いまだに分かりませんが・・。


※今日、気にとまった短歌。

  お盆近し胡瓜の馬ではもどかしいハーレー駆って早く来よ息子  (愛知・扶桑)井戸田雅子



(お盆に胡瓜の馬、茄子の牛を作って死者を迎える
地方があります。「みらいく」のHPより引用。)