Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

涼しげなお菓子

2008年06月11日 | 家・わたくしごと
 かみさんが、数日前から、私が京都みやげで買ってきた緑寿庵清水の金平糖をガラスのふた付きの透明な器に入れて、食卓机の中央に置いている。巨峰味の紫の金平糖と林檎味の白い金平糖が、交じり合う配色は透明な器の外から眺めるだけでも美しい。
 「透明さ」というのはなぜ涼しく感じるのだろう?最近、私のゼミの学生が風鈴はなぜ涼しいのか、ということをテーマに論文を書いたが、江戸時代につくられるようになった「ガラス」と関係があるらしい。今でも江戸風鈴は確かにガラスで作られる。風鈴の音そのものが涼しく感じられる日本の音文化は、日本人にもともとそなわっていたものではなく、何らかの要因によって作り出されたものだろう。
 ガラスの器に入った金平糖は決して、そのものがアイスクリームのように冷たい食べ物ではない。どちらかというと、舐めるものではなく強く噛むもので「力」が必要だし、それらは直接「涼しさ」に結びつくことはない。しかしガラスの器に入っているだけで、金平糖の不思議な形は、小さくかわいい氷のようなイメージを作り出し、心理的に涼しさを感じさせてしまうのだ。うっとうしい梅雨の季節に、こうして金平糖が置かれるだけで、そして一つ二つ摘むだけで、心も体もクールダウンしたような不思議な錯覚に陥る・・・。器の大切さをしみじみ感じる。