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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

ピート・シーガー追悼

2014年01月28日 | 家・わたくしごと
 私の尊敬する(というより崇拝する)アメリカのフォーク歌手、ピート・シーガーが27日に亡くなった。94歳。大往生である。80代になってもバンジョーやギターを片手に政治集会で歌い続けていたそうだ。
 ピート・シーガーについて知ったのは高校二年の時だ。政治色の強いある音楽集会に参加したときに、彼の《We Shall Overcome》のほか数曲がプログラムにあって、熱い歌だなと思った。大学に入って、ピート・シーガーの父親が民族音楽学の生みの親ともいえるチャールズ・シーガーだと知った時、ものすごい驚きと、喜びを感じたことを今でもはっきりと思い出せる。父親は研究の道を進んだが、息子は採譜をした民謡を研究するのではなく、社会的弱者の立場に立ち、歌うことを選んだフォークシンガー。 
 半期で開講されるポピュラー音楽概論の授業の中で、必ずフォークをとりあげ、シーガーのことを熱く語ってきた。そして、偶然なことに、今日、チャイルド・バラッドについて講義した民族音楽学の授業の最後に、シーガーの歌う《バーバラ・アレン》を学生に聞かせた。学生も眠そうだったし、どうしようか迷ったのだが、なぜだろうか、それが聞きたかったのだ。授業時間もほとんど残っていなかったし、熱くなってしまうのが怖くてシーガーの話は何もしなかったが、研究室に戻ってパソコンを開いたときに彼の死を知った。
 私は彼のようには生きられない。しかし、シーガーの音楽への取り組みは、私が定年になって教壇から離れるまで講義し続けるだろうし、そんな生き方を手本にしながら一人のアーティストとしてこれからも成長していきたいと思う。合掌。