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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

レゴン・バパン legong bapang

2014年08月31日 | バリ
先週、楽器の調査にいったクランビタン村のティシュタ集落で、30日に儀礼でレゴン・バパンが上演されると聞いて、夜に車で出かけた。この村は私が学んだトゥンジュクと同じタバナン県にあり、さらにこの楽器はトゥンジュクにある楽器と同じ形態のプレゴンガンで、この村ではアンディルと呼ばれている。儀礼としての上演なので、観客はほとんどいない。近所の人と子供だけ。こんな雰囲気の中でレゴンを見るなんて贅沢きわまりない。
レゴンを踊っている日本人は知っているのかもしれないが、レゴン・バパンを見るのは初めてだった。トゥンジュクと同様に最後に、儀礼を受ける生後三か月の子供に聖水が降り注がれ、最後にレゴンの踊り手と子供を抱いた女性が、儀礼的なジョゲを踊り終了した。
この村にとってレゴンは、儀礼にとって不可欠な芸能だという。演奏者には若い人々がいなくて心配だ。それでも儀礼以外でも一年(210日)の間に4回演奏する日を決めて、日常的に演奏される仕組みが古くからできあがっている。さらに驚いたのは、儀礼での上演の場合は、依頼する側は、供物代は自分で準備するのは当然だが、上演に対しては25,000ルピアしか支払っていないということである。そういう規則になっているというのだ。25,000ルピアというのは、ナシゴレン2皿分の価格。信じられない安さ。つまり誰でも儀礼での演奏をお願いできるようになっているわけだ。演奏者は、演奏する、しないにかかわらず全員が集まり食事をもらう。
こうしてティシュタ集落のレゴンは維持、育成、継承されてきている。村ごとにさまざまな方法が用いられているのだ。