Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

林光さんのこと

2015年04月13日 | 家・わたくしごと
 久しぶりにヤマハでピアノの楽譜を注文して購入した。なんだか僕には不似合のようにも思えるし、購入しながらなぜかちょっぴり恥ずかしかった。「この人、楽譜なんて読めるのかしらね。きっと子どもにでも買ったのだわ」。そんな風に思われているのかもしれない。音楽大学出身者なのだし、そんなことは全くないのであるが、それほどピアノの楽譜はぼくにとっては遠い存在となり、そんな妄想を抱いてしまうほど身近にないのである。
 作曲家、林光さんの訃報が届いたのはもう3年前だ。ぼくは彼の作品をよく聞いたし、こんにゃく座の公演にも足を運んだ。浪人時代だろうか、ピアニストの志村泉さんのコンサートを聞いて、すっかりとりこになってしまった。彼の作品は平和運動、社会性、民族性を感じさせる作品が多い。あるいは表向きはそんな表題がついていなくても、それを感じさせるものもある。
 ある作曲家が私に、「あの人は、政治や平和に関わりすぎて、音楽が純粋じゃないのよね。」そう語ったことがある。「純粋」な音楽っていったい何なんだろう?私はそのときそんなことをふと考えた記憶がある。しかし大事なのはその作品だ。あらゆる思想的な部分を排除して「純粋音楽」を目指そうが、そこに社会性や民族性が含まれようが、作品そのものが重要なのだ。林光さんの作品は、ぼくにとって完成度の高い音楽作品として心に響くのである。