Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

影をつくる難しさ

2015年11月23日 | ワヤン上演
 ワヤンでは人形の影をスクリーンに映すのだが、実はそれが結構やっかいである。まず、ワヤンのスクリーンの構造上、人形全体を影にぴったりつけるのは難しい。重要なのは顔から上半身の部分で、これはどのような動きをしたとしてもスクリーンから離れてはならない。それが複数の人形が登場する場面で、複雑な動きをするとなるとなるとこれまたたいへんである。人形を操る側が、いろいろ考えて動かしてはみても、影にはそれがほとんど反映されないことすらあるのだ。そのために重要なのは、操る側と影をチェックする側が連携した稽古なのだ。
 今日はその練習。私が操り手なので、画面側にはメンバーのK氏が陣取って影の動きや映り方をチェックする。
「右の人形はその位置だと、よくわからない。」
「もっと左の人形を傾けた方がいいなあ。」
「電球を揺らしてみたらどうだろう?」
とにかくいろいろな案を出し合いながら場面を作っていく。一場面ずつこれを繰り返していくのだ。
 さて、今回の自主公演の演目「乳海攪拌」では、須弥山に巨大な竜バスキが巻き付いて、神々と魔物が互いに引き合い、山を回転する場面があるのだが、演目の中心となるこの場面をしっかり作り込んだのだった。静止画であるが、この写真の場面である。いったいどうやって、この竜を引き合い、山が回転するのか?もちろん本番のお楽しみである。