いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

薬害の予見力。 foreseeing damage of medicinal operation

2011-02-26 19:24:47 | 日記
 (1)何でもかんでも国の責任と言うのは短絡すぎるが、国が製造認可、輸入承認権限を持つ国
内外の医薬品の安全性については、国民の生命、生存権にかかわる基本的人権の保障だから、
最終的に国が医薬品使用、服用の安全責任を負わなければ、患者は安心して医療、治療行為
を受け入れられない。

 高度に専門性のある医学、医療、治療分野では、患者が理解し判断できる範囲も狭く、まして
国の認可、承認権限、使用する医療機関に全面的な信頼を置くのは当然の構図だ。
 かってはその高度な専門性を理由に医療機関では患者に対する十分な理解、説明もないまま、
一方的な医療、治療行為を実施して不必要な医療、治療行為、多額な治療請求が行われてきた
反省、改善から、患者に対する事前説明、同意(informed concent)が建前となった。

 (2)英国製の肺がん治療薬「イレッサ」は、錠剤の経口薬という利便性と従来の抗がん剤より副
作用が少ないことがメリットとなって肺がん患者に広く使用されてきた。
 臨床実験では致死的な(間質性)肺炎の副作用を発症する可能性が判明していたが、輸入販
売会社も医薬品の説明書に記載せずに、国の十分な指導もないままことさらに副作用が少ない
ことを強調して販売していた。

 このため、副作用により病死した人も含めた原告団が国と輸入販売会社に損害賠償を求めた
裁判で、地裁は原則として輸入販売会社の一次的な「責任」を認めたが国に対しては行政指導
による法的権限の限界、当時の予見能力(foreseeing)がなかったとしてその責任を認めなかっ
た。

 (3)医薬品の薬害問題(damage of medicinal operation affairs)については、使用条件(患者
の病理性、体質など)、発生症状条件に一定性、普遍性が少なくて、特異性(singularity)もあり
国の認可、承認責任を問うことにはかねてから消極的な傾向があった。

 近年は、日本国内における臨床試験、安全性の確認に重点が置かれるようになったが(その
分認可承認時期が長引くことになる)、以前は欧米の医薬品の安全性立証を信用しての輸入販
売による薬害事例も見られた。

 医薬品に限らずに、断熱材アスベストなども米国で盛んに利用されていたものを追随して、そ
の経済効率、エネルギー効率だけで国内の教育機関に積極的に普及させて、後年それがガン
発生物質を含むことが伝えられてから全面撤廃することになった事例もある。

 (4)国の行政指導による法的権限の限界や予見能力の可能性以前の、国民の生命、生存権
を保障する中での医薬品の認可、承認としての国の責任について、安心して医療、治療行為を
受けられる検査、検証の充実(予算は米国の10分の1と言われる)、環境整備のための「国の
責任」が厳しく問われている。

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