いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

緊急避難範囲シミュレーション。 simulation of emergency refuge area

2012-10-25 20:08:55 | 日記
 (1)原子力規制委員会と政府が権限、機能で責任をなすり合っている原子力行政だが、そもそも「何」を規制しようというのか、根本原理、理念が見えてこない。
 30年代に原発ゼロを目指す政策ながらこれを不断に見直し、核燃料再処理事業、原発輸出産業は継続するという二律背反の方針の定まらない原子力行政指針では、近未来社会の推進動力源エネルギー対応も含めた基本構想、グランドデザインも描けない先行き不安で不測な将来構図だ。

 (2)その原子力規制委員会が成立の立ち遅れを取り戻すかのように「原子力災害対策指針案」と原発事故時の「緊急避難必要範囲の試算シミュレーション(trial calculative simulation of emergency refuge area)」を公表した。
 避難の重点区域を従来の8~10キロ圏から30キロ圏内に大幅に拡大し、自治体の事前安全対策の基準化、準備対応の充実をはかったものだが、肝心の緊急避難範囲試算シミュレーションではそのエリアを超えて40キロ超の地域まで及ぶものとなっている。

 (3)あくまで自治体防災計画策定の「目安」とするもので、規制委員会が原発再稼働の環境整備条件には厳しく対処するといいながら、原発再稼働を念頭に置いたかのような指針案づくりだ。
 国民の生命、安全、財産、生活に直接、長期間、年代にわたって影響を与え続ける原発行政について、何から何まであいまいで進むべき方向性も見えない中で再稼働の決定方針も政府と規制委員会が責任をなすり合う、事の重大性に比較してあまりに無責任な行政姿勢、事態の解消、解決が先決だ。

 (4)30年代原発ゼロまでは順次原発再稼働を進めるとでもいいたいのか、規制委員会の指針案と緊急避難範囲シミュレーション策定公表の意図がまったく見えてこない。
 今夏の電力需給事情は原発再稼働に頼らなくても一応、危機的状況はまぬがれたとはいえ、しばらくは様子見のところもあるというところだろうが、それは政府の未来エネルギー政策があいまいで将来計画に先行き不透明なものがある社会観に原因がある結果だ。
 まるでその不安を助長、増幅させるかのような、それだけの今回の規制委員会のデータ公表方針だ。

 (5)福島第一原発事故で時空を超えた多大な被害、影響、教訓(precepts)を受けたわれわれは余程精度の高い画期的な原発安全管理方式が確立されない限り、原発ゼロ稼働による火力、水力、再生可能エネルギーによる電力需給体制を整備するしかない。

 そのために国民の70%以上が節電生活に協力すると答えている。政府は早く未来社会エネルギー政策を策定、計画、提示する必要がある。
 あいまい政策のまま社会不安ばかり煽(あお)る対応をとるべきではない。

 (6)福島第一原発を視察した都知事(本日辞任した)は「原発技術体系の放棄は愚か」と述べたが、こうした行政執行サイド、経済界偏重の視点ではない、国が守るべき国民安全の本来の視点に立ったエネルギー政策体系の確立が求められている。

 

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