自力生活安定。 stabilization of livelihood by their own exertions

　(1)生活保護世帯、人が増え続けている。予算が膨らむ中で与党自民党は今後３年の間に生活保護基準を最大１０％削減する方針を示したのに反発して、弁護士主導で生活保護者１０００人が見直しを求めて集団提訴するニュースがあった。

　生活保護、困窮者問題は行政機関の対応のまずさもあって、複雑な社会問題となっている。長引くデフレ不況下で雇用も安定せずに国民生活圧迫の中で生活保護世帯、人は１５０万世帯、２００万人以上といわれて収まる気配もない。

　(2)一方、行政窓口には生活実態把握機能もなく、働く意欲もなく反社会的グループに属するものにまで形式的な書類審査で一律生活保護費支給を行っていた実例も多くあり、社会問題となっていた。

　生活保護、困窮者に対しては、雇用斡旋、支援による自力生活安定（stabilization of livelihood by their own exertions）、社会復帰（social comeback）を目指すことが原則で、そのための職業訓練、技能訓練制度の整備と雇用のマッチング制度の充実整備が求められている。

　基本的には生活保護費支給はそのための期間限定の準備金の性質でなければならないが、現実にはそうはなっていない実態が形式的な書類審査による一律支給実態だ。

　(3)生活保護、困窮者の必要度、実態は、書類審査で片付けるほど事情は一様でもなく複雑で簡単でもない。かといって事例ごとに生活現場主義で判断、対応することなど途方もない作業となる。

　そこで生活保護費一律支給が原則ではなくて、雇用促進、斡旋による自力生活安定を目的、原則主義とするのは持続性のある社会復帰のためには必要な方法論だ。
　雇用の選択にまで応えることはむずかしいが、限られた雇用ではあっても無作為に斡旋されたその仕事にまず従事することによって自力生活安定を取り戻すことが先決で大切だ。

　(4)生活保護費が最低賃金基準を上回っているようでは、生活保護、困窮者は誰も仕事よりは生活保護に依存するのは避けられない現実だ。社会実態の平等性に合わせる必要がある。

　生活保護、困窮者に対して雇用斡旋、職業、技能訓練、自力生活安定を目的とすることによって、必要度の高い人にこそマッチングする生活保護制度となることは間違いのないことだ。

　(5)雇用斡旋、職業、技能訓練制度の充実整備が前提だが、自民党の生活保護基準の１０％削減は早期の社会復帰を促すためにも問題はない。

　近年の雇用不安社会で大学卒業予定者もかっての大企業中心から中小企業へも目を向けて就職率の回復にもつながっている。
　急増する生活保護世帯、人に対しても一律の生活保護費の支給ではなくて、早期の社会復帰を目的とした支援制度として充実整備されるべきことだ。