いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

防衛白書。 defense white paper

2013-07-10 19:35:42 | 日記
 (1)13年版防衛白書(defense white paper)が発表された。年末には参院選の結果を受けて防衛計画大綱を策定する。
 防衛省幹部が言う「(白書は)事実を客観的に記録するだけ」のものだそうだが、安倍政権の国防軍化、集団自衛権容認に向けての日本を取り巻く国際安全保障環境の厳しさを強調して、防衛力の強化、日米安保、軍事同盟強化の必要性を主張している。

 ジャーナリストの国防には「精強な軍隊を持つのは初歩」という主張に、日本を侵略、戦争をする国があるだろうかと書いたが、防衛白書は北朝鮮の核、ミサイル開発、中国による領海侵入、ロシア軍の活発化と日本を取り巻く安全保障環境の厳しさを説いた。

 (2)中国による尖閣諸島領有権主張による中国軍の同領海侵犯は、当時民主党政権ではあったが当時石原都知事による尖閣諸島の都買い上げ発言に煽(あお)られての唐突な国有化に対する中国側の反発から頻繁にくり返されて外交防衛問題化が顕著になっていた。

 70年代では田中、周首相両首脳間による尖閣問題棚上げ論から東シナ海石油、ガス日中共同プラント事業も展開されて、尖閣諸島は海保庁レベルで日本が現在も実効支配もしている。

 (3)こうした現状は中国の軍事力強化、南シナ、東シナ海軍事進出で変化はもたらしていたが、日本の尖閣諸島「国有化」が東シナ海の緊張(strain)をむやみに加速させたのは間違いないことだ。

 そういう政治、外交の問題点の核心を抜きにして中国ほか国外の軍事脅威論を展開して、自国の防衛軍事力強化をはかろうという目論見がよく見える防衛白書だ。国防軍化や集団的自衛権容認はかっての旧日本軍による植民地支配を受けた近隣アジア諸国の反発、過度の警戒感を与えて国際外交関係にあつれき、極度の緊張を高める効果しかないだろう。尖閣諸島の国有化影響の二の舞を見ることになる。

 (4)日本は沖縄に過度の負担を強いながら平和憲法(戦力不保持、不戦)、個別的自衛権行使、日米安保、軍事同盟による国防政策を基本としており、この基本戦略はすでに国民に定着したものであり普遍的協力関係のあるものだ。

 安倍政権が憲法改正による国防軍化、集団的自衛権の容認に向かうとは、日本の国防理念が専守防衛から防衛ゾーンを米国覇権主義の共同、共益ゾーンの海外に拡大する危険な方針転換として、日本の外交、歴史認識として必要のない政治理論だ。

 (5)日本を侵略し、戦争をする国がもし仮にあるとすれば、こういう米国覇権主義に従わない時の日本に対する「米国」ということになるパラドックス(paradox)だ。侵略、戦争とまではいわなくとも、相当の圧力外交は必至だ。

 そういう意味でも沖縄での米軍基地移設問題は正念場を迎える。やはり安倍政権が目指す国防軍化、集団的自衛権の容認は、国防強化、専守防衛論からは「相矛盾」し、米国覇権主義に取り込まれた攻撃的な危険なものでしかない。
 そうした核心問題が抜けた(ふれない)防衛白書だ。

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