いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

TPPと方針転換。 TPP and conversive policy

2013-10-07 19:57:41 | 日記
 (1)TPPというのは参加国が相互に輸入関税を撤廃して自由貿易(freedom trade)により貿易経済を活性化しようという趣旨の自由貿易協定だ。
 どこかの国だけが既得権益保護のために関税聖域を設けて国内産業を擁護保護する抜け道など認めていては、そもそも成り立たない相互利益享受の貿易協定だ。

 日本政府、与党は当初から農産物の重要5項目(コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)については食糧自給率確保、国内産業保護のために輸入関税を維持する聖域としてTPP交渉参加の絶対条件として、これが認められない場合には同交渉参加から脱退することもあり得る姿勢、主張を取り続けてきた。

 (2)今年2月の安倍首相の訪米でのオバマ大統領との会談では、オバマ大統領がこの日本政府の方針に一定の理解を示して、すべてはTPP交渉会合で決まることと述べたことを安倍首相は当時都合よく国内向けにはオバマ大統領も日本政府の立場に理解を示したと誇大表現をしてみせた。

 日本のTPP交渉参加にあたっては、それは多分交渉参加強硬反対で注目の集まった農業団体の中でも、聖域なき関税撤廃(ablition of customs duty)の「ない」日本政府の立場、主張が認められるなどと甘くも考えたものなどなく、ましてそうだからといって同交渉参加途中から日本だけ交渉脱退などできるはずもないことは、大方のところで分かっていたことだ。

 (3)環太平洋の10か国が参加したTPP交渉で日本が都合のいい国内利益保護条件を押し通すことなどTPP趣旨からももちろん無理で、国際社会の理解を得られるはずもなく、同時にだからといってひとり日本だけが途中で同交渉脱退することなど無責任な行動が許されるはずもない、自由貿易圏の経済協調主義の枠組みの中にある。
 日本が家電、自動車貿易で韓国に遅れをとっているのも、韓国の積極的な相互関税撤廃の貿易展開がある。

 (4)問題はこんな原則が分かりきっている中でも、TPP交渉参加にあたって日本政府、与党がともに農産物重要5項目を例外規定として死守してそれが叶(かな)わなければ交渉脱退する(こともある)と、まことしやかに主張してきた理不尽(unreasonableness)さ、無責任さにある。

 食糧自給率の向上を理由に国内農業の過剰保護政策を維持して、かっての票田の農業団体にいい顔をしてみせる政治ポーズだ。

 (5)米国が主導する(議長のオバマ大統領が国内問題で不参加は思惑外れだろう)TPP年内交渉妥結に向けて閣僚、首脳会合が始まり、安倍首相も現地(バリ島)入りしてこれまで強気で押し通してきた同交渉参加方針プロセスを踏まえて「何」を語るのか。

 日本のこれまでの立場を押し通すことができるのか、国内では自民党がすでにこれまでの主張と手のひらを返した聖域なき関税撤廃のない条件死守の方針見直し(conversive policy)検討(報道)に入っている。

 (6)過保護農業をはじめ日本の本来高い潜在能力、国際競争力を発揮する「自立」の時代を迎える。安倍首相、政権もいよいよひとつひとつの政治、政策課題の「結果」の国民評価を受けることになる。

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