いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

おもてなし文化の擬装世相。 comouflage social conditions

2013-10-29 19:35:20 | 日記
 (1)リオでの2020年東京オリンピック開催決定プレゼンでは、懸念されていた汚染水漏れに対する安倍首相の「完全にブロックされている(under control)」発言が招致に有利に働いたといわれているが、帰国後の安倍首相の国内説明では「完全」が抜けて国会でもブレが野党の追及を受けるハメになった。

 このプレゼンでもうひとつ話題になったのが、女性TVキャスターが仏語の中に取り入れて強調した日本語の「お・も・て・な・し」だった。
 日本、東京の治安、安全の高さに、懇切丁寧で正直、温かい国民性、接待力を強調してみせたものだ。

 (2)その日本で大阪の阪急阪神ホテルズ社が数年前からホテルレストランの食事メニューを提供実物と異なるメニュー表示をして擬装して(comouflage)いたことが発覚して社会問題化している。

 さらに同ホールディングス社が日本で運営するリッツカールトン大阪でも同じ対応をしていたことがわかってメニュー擬装問題が波及している。

 (3)リッツカールトンは世界的に名の通った有名ホテルでもあって、ここでも同様のメニュー擬装工作が行われていたことは、ホテル業界の自尊心、規律崩壊、堕落、問題の根の深さが一層印象的であった。
 その後、他のホテルにも同様の問題は波及しており、ホテル業界共通のパラダイム(paradigm)問題としてクローズアップしている。

 汚染水漏れ問題対応と同じように、日本の「おもてなし」文化の高さも、一転釈明に追われる立場となった。

 (4)スーパーなどの生鮮食料品、魚介類は品質安全、ブランド証明のために生産地名を表示することになっているが、消費者にとってはこの内容を確かめる術(すべ)もなく、善良な管理者としての販売者の良心を信用して購入するしかない信頼原則のマーケットだ。

 飲食業も同様の信頼原則が基本だ。これを逆手に取って消費者、利用者をあざむくなどとは市場パラダイムに著しく違反した社会的背信行為である。

 (5)企業の存在意義(brand)が損なわれて、問われる重大問題で、社長が辞任して問題責任を収めることでは済むものではない。
 こうした背景には、長引くデフレ不況の中でホテル業界の経営悪化があげられるが、また社会正義、道義、倫理のパラダイムの欠如、風潮、擬装世相(comouflage social conditions)に流された甘い(世相に乗って社会をナメた)面も十分伺える。

 極めて専門性を持ち特殊事業環境にある業界では、「それ」だけ高い自己責任、自覚、自律が求められるものだが、ひとたび組織として規律、統治が損なわれれば高い専門性ゆえに簡単には消費者、外部にはわからない、知られないという特殊事情も合わせ持っての、より安易な選択へおちいる世相反映した自律のなさ、無軌道ぶりだ。

 (6)そこには名門、注目、人気という代価に安乗りしてその価値、恩恵の重さ、感謝を忘れた自己破滅型の社会背信行為だ。感謝を忘れた「おもてなし」などありがたくもない。
 何年も前からメニュー擬装していたと言われて、実はもうひとつ日本の高いはずの「おもてなし」もブロックされていた。

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