いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

ノーベル平和賞の推移。 transition of nobel peace prize

2013-10-12 19:53:47 | 日記
 (1)今年のノーベル平和賞は、現在内戦状態のシリア国内で化学兵器の廃棄活動を実施中のOPCW(化学兵器禁止機関)が授賞した。
 今回あらたに加盟したシリアを含めて190か国が加盟する化学兵器禁止条約にもとづく監視、査察実施機関であり、シリア政府の同意、申告にもとづきシリア国内での化学兵器の廃棄活動が結果として米国ほかのシリア軍事介入拡大を回避した平和活動が評価された。

 (2)ノーベル平和賞は、かっては10年に中国の民主化運動指導者が授賞して中国政府の国内関与との反発を受けたり、09年にはオバマ大統領がプラハで行った「核のない世界」宣言に対して実績もないなかでのノーベル平和賞を受賞して、続いた政治的色彩、話題性先導性が問題視されもしてきた。

 (3)今回のシリア国内での化学兵器廃棄活動に対するOPCWの同授賞も、それからいうとシリアの後ろ盾の立場を利用して同国の化学兵器の国際管理下による完全廃棄を主導して米国ほかの同意を取り付け、軍事介入の中止に寄与したロシア政府、プーチン大統領が授賞してもおかしくない、実績にふさわしいものであった。
 近年のノーベル平和賞が政治的色彩、意図、思惑が鮮明に出すぎて国内政治関与との懸念、反発も受けてきただけに、今回は政治的色彩を極力排除した結果との見方もできる。

 (4)同決定前には、パキスタン国内での国際過激テロ組織に批判的なメッセージをツイッターで発信してタリバンに攻撃標的となり銃撃されて重傷を負いながら、国際協力で驚異的な健康回復を見せたパキスタンのマララ・ユスフザイさん(16)が話題性のインパクトの強さから同賞有力候補者にあがっていたが、年令の若さからくる象徴性(symbolic)の突出、政治的色彩が強烈で現在も同少女がタリバンの攻撃標的になっている事件性、生活環境を考慮すれば、あまりにも悲劇的話題性(topical stance)が突出優先しすぎてやたら政治的挑発性の危険を含むものであった。

 (5)ノーベル賞は取るものではなく、与えられるもの(nobel prize is awarded)だ。ノーベル平和賞は創始者アルフレッド・ノーベルの世界平和を望む意志により創設された(文献)もので、近年の同選考傾向に注文をつけるとすれば政治性、話題性、思惑に偏(かたよ)ることのない、資金、人員不足のなかで人類共通目的(貧困、医療、治安、慈善)の平和活動を地道に行う組織を広く掘り起こしてバックアップするものであってほしいと願う。

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