いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

逆行する軽減税率の範囲。 range of contrary reductive tax rates

2013-10-21 19:30:43 | 日記
 (1)政府の来年4月からの消費税8%引き上げ方針が決定して、収入格差による負担公平を考える軽減税率(reductive tax rates)導入が焦点となる。
 高額所得者も低所得者、生活困窮者、被災者もすべて等しく一定税率で徴収される消費税は税収効果としては実効性の高いものだが、国民納税者にとっては収入対負担公平性(impartiality)を欠いて、それだけでは還元効果もなく平等理念に反するものだ。

 所得税、法人税のように収入に見合った応分税率でもなければ、市・県民税のように直接還元性もない、よくよく考えればどこからでも取るだけ取っての何とも変な消費税だ。

 (2)消費税も収入に見合った応分税率制を取ればレジ機能は相当高度な技術、システム対応が必要だから、費用対効果性もなくてこれでは導入効果の意義もなくなる。
 そこでせめて一定税率徴収では負担率が収入対効果で相乗的に比較重くなる低所得者、生活困窮者層の負担軽減をはかるため、生活必需品、食料品の消費税率を軽減する対策が一般的に取られる方法だ。

 (3)国家財政の累積赤字が1000兆円を超えて財政健全化が求められ、少子超高年令化社会を迎えて社会保障、年金、医療制度が財政窮迫に直面して国民サービス低下を招いて、税収増の必要性に迫られての今回の名目は社会保障費対応としての法令化による消費税の2段階引き上げ政策である。

 そういう意味、意義からすれば、これで社会保障制度の立て直し、維持に結び付くのであれば国民全体の利益還元にもなることだから、ザックリ一定税率で広く国民公平に徴収することがもっとも実効性の高い方法論ということになる。

 (4)消費税を引き上げ(8兆円規模の税収増ー政府試算)ながら一方で5兆円規模の経済対策支援支出をする安倍政権に、一部専門家から矛盾効果との反対の声が出るのもそういうことからだ。
 5兆円規模の経済対策投資でそれ以上の経済効果、税収効果が派生すれば政策意図もあるというもので、これも具体的な経済対策次第ということだ。

 今回の消費税引き上げ意味、意図が税収効果の実効影響の高さということからは、軽減税率導入も経済対策も不必要な対策ということになる。
 一方でデフレ脱却による経済回復、賃上げによる生活安定を目指す政府としては、消費税を引き上げたはいいが反動としての国民の消費手控えによる税収減、景気落ち込みになっては元も子もない。

 (5)軽減税率導入では、知的財産、新聞など報道機関を対象とするのか議論がある。欧米では知的財産、報道機関への軽減税率適用は、報道の自由性、知る権利保障のために広く実施されている。

 そもそも20%以上の高い消費税率(同趣旨税)で国民の社会保障拡充、医療の無料化など社会資本を整備する理念社会の欧州と、国と国民が応分の負担で公平、公正に社会制度を維持する日本とでは基本理念が違う。

 (6)報道機関、特に新聞は情報化時代に新聞離れによる経営悪化におちいっており、これ以上価格上昇転嫁は避けたい事情もある。軽減税率を望む報道機関には報道の自由性、知る権利保障という名目はあるが、名目は報道機関に限ったことではない。
 軽減税率の適用範囲をどこで線引きするのか、あちらを立てればこちらもで、税収増理念の中でむずかしい判断が求められる。

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