いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

GDP世界一米国の苦悩。 distress of u.s.

2014-04-07 19:31:10 | 日記
 (1)米国の12年のGDP(名目国内総生産)が1296兆円(報道)と台頭著しい第2位の新興国中国(同656兆円)のほぼ2倍近い、いわずと知れた単独国家世界一(世界シェア22%)の経済大国だ。

 日本は中国に抜かれて第3位の474兆円(同8%)で、しかし同4位のドイツ(274兆円)のやはり2倍近い経済立国には違いはない。米国、中国、日本で世界のGDPの40%以上の半数近くを占める経済力比率だ。
 ブラジル、ロシア、インドほかの新興国の経済台頭も著しいが、世界の経済は米中日3国中心に回っている。

 (2)米国は基幹産業の自動車産業の減退、中国は国内格差、日本は為替変動とそれぞれ国内経済問題を抱えているが、もちろん広大な国土に豊富な人口を擁してそれが機能すればGDP比率が自然と高くなるのは必然の原理(人口米国3億人、中国13億人、日本1億人)で、国土面積に人口一人当たりの割合のGDP比率を見れば日本の経済力はより高くなるというものだ。
 米国の底力はあなどれないが、日本もこれでも国民経済力はそう悲観するほどのものではない。

 (3)近代世界の産業構造(organization of industry)が製造業中心からIT関連産業、サービス産業へと変化して、米国社会も長引く高い失業率の影響をモロに受けて圧倒的なGDP世界一の経済力が国内経済に反映されない現象が続く。

 その結果、米国国家財政も毎年のデフォルト(債務不履行 default)危機を迎えて軍事費削減に迫られている。

 (4)GDPの群を抜く圧倒的な高さを見れば米国経済が不振に陥(おちい)れば世界経済が共倒れ、波及する経済構造がわかるが、世界一の圧倒的な経済力が同時に失業率の高さを生んで国内経済に反映されないのは産業構造の変化だけではない。

 これまた圧倒的な世界的巨万の個人資産家を多く輩出する社会背景にあるのは、自分のことは自分で責任を持つ徹底した個人主義(individualism)、フロンティア精神性の国民性だ。

 (5)この国民性が社会制度上、国益を国民に平等に公平に配分するシステムになっていないことが国内経済インバランス(imbalance)の原因のひとつだ。
 医療にしても資産のあるものは十分な診療を受けられるが、貧困層は満足に診療を受けられない社会だ。
 
 オバマ大統領は主要政策として、革命的に日本の国民皆保険のような制度を導入して貧困層にも公平、平等な医療体制を保障しようとしているが、議会、国民の支持を得られていない。日本から見れば異質な社会体制が不思議に見える。
 自分の生命、安全、財産は自分で守る銃社会で不幸な同事件、事故がたびたび起きながらも、銃規制は米国社会の共通意識とはならない。もっと強固に銃で安全を保障すべきだとの過激な意見も強い。

 (6)徹底した個人主義は一面ロマンで魅力があり、社会を強力に動かす動力論(dynamism)とはなるが、社会全体の利益の公平で平等な配分には欠ける。
 その反動としての慈善、ボランティア精神性が根付いてはいるが、国内経済の平均的な底上げ効果を持つものではない。

 今や「Gゼロ」時代でも、多分に多くの米国民は唯一の覇権国家としての米国の世界力に誇りを持っているのだろうが、圧倒的なGDP世界一の経済力が国内経済に公平、平等に配分される日が来るのか。
 米国は高いGDPと失業率、デフォルトの国内経済インバランスな苦悩(distress of u.s.)が続く。

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