いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

憲法解釈の論争。 controversy of constitutional interpretation

2014-04-10 19:40:27 | 日記
 (1)憲法は国の基本法として精神性も含めて権利と義務関係を制定している。具体的に必要な施行は個別に法律を定めて実施する。たとえば選挙権は20才以上のすべての国民に平等に保障されているが、これまでは後見人がいる20才以上の障害者には選挙権が制限されていたが最近の最高裁判決で違憲判断されて、等しく選挙権が回復された。
 自由と平等を尊重する憲法精神を正しく解釈して、これまでの法施行、解釈をあらためたものだ。

 (2)時代によっては障害者の意思が他人(後見人)の意図によって拡大解釈、利用されて国の体制に影響力を持つことを防ぐ、障害者の社会参加にはじめから目を向けない社会性があったり、障害者にも社会参加の門戸を開いて応分の役割を果たしてもらう先進的な共同参画意識の高まりの時代があったりで、法施行、憲法解釈も時代背景とともに変遷をみせてきた。

 (3)安倍首相が意欲をみせる憲法解釈の変更による集団的自衛権(collective self defense)の行使容認は、最近自民党高村副総裁が砂川事件の最高裁判決が認めた唯一の司法判断による国の「自衛権(「主権国家として持つ固有の自衛権」)」の行使に集団的自衛権も含まれると解釈して、安倍首相の方針を支持している。

 (4)自分本位の国益論から見れば際限のない自衛権の世界展開になる相当に乱暴な拡大解釈論だ。
 日本の憲法は国際紛争を解決する手段としての戦力は保持せずに、交戦権を認めない。国際法では国の主権、国民を守る個別的自衛権(separative self defense)は広く容認されており、このため日本も自衛隊を設立して個別的自衛権に限定して国防を進めてきた。

 (5)当初は当時の野党社会党中心に自衛隊も違憲だとの主張もあったが、今では自衛隊を含めて個別的自衛権は広く国民の理解を得ている。
 内閣法制局は、憲法が国際紛争を解決する手段としての戦力を保持せずに交戦権を認めていないことから、海外への「戦力」の派遣はできずに集団的自衛権の行使は「違憲」だとの判断を示している。憲法解釈論上は順当な判断といえる。

 (6)安倍首相も集団的自衛権の範ちゅうについて、直接戦闘行為に関わるものではなく弾薬補給など後方支援を指すとはじめて言及したが、さらに「必要最小限の自衛権の行使」と限定的な集団的自衛権の行使容認の意向を示している。
 結局は限りなく個別的自衛権に近づく解釈論となっている。

 (7)憲法第9条は、「前文」精神を含めて政権の都合のいい解釈に翻弄(ほんろう)されてきた歴史を持つ。司法も行政の裁量を縛る権益にまで踏み込むことはしない。
 憲法は国の基本法で憲法解釈が拡大されて政治に利用、翻弄されることは本意ではない。憲法解釈の変更は、司法の判断か国民の審判を受けることが基本だ。

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