いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

政局と憲法改正。 the political phase and revision of the constitutional law

2019-11-26 20:17:30 | 日記
 (1)安倍首相が目指す憲法改正について、自民党からは議論すらしないのはおかしいとか一度も国民投票を実施しないのは国民主権、民主主義とはいえないとして憲法論議は「政局」(the political phase)と切り離して議論すべきだとの後押し意見が示されている。

 衆参の憲法審査会が野党の反対で開かれない現状に、安倍首相はじめ自民党から不満、反発が広がっている。憲法改正論議に反対の立憲民主党からも一部議員が憲法論議に応じるべきだとの意見表明もあり、一枚岩ではない。

 (2)国会での安保法制議論の際には、憲法9条の解釈を巡り予算委員会で与野党が論戦をかわして憲法学者の違憲、合憲意見も交えて注目されたが、安倍首相独自の憲法拡大解釈を数の力で押し切って集団的自衛権の行使容認にこぎつけた。

 憲法9条は戦力不保持、交戦権の放棄で自国が攻撃されない海外の紛争地域に同盟国と共同して自衛隊を派遣する集団的自衛権行使は違憲というのが多くの憲法学者の意見であり、安倍首相のいうように広い意味で世界の紛争地域で同盟国が攻撃されれば日本の脅威になるという前提に立てば自衛隊を世界の紛争地域に派遣できることになり、憲法9条の戦力不保持、交戦権放棄は意味、意義を失うことになる。

 (3)安倍首相がそういう概念での憲法改正を目指しているのか、今のところわからないが、中国、韓国などから旧日本軍によるアジア植民地侵略支配に批判が集中して自衛隊の海外派遣を無制限に拡大する憲法改正などできるはずもないことだ。

 (4)国の基本法の憲法は一度も見直されたことがないとか、議論してはいけないものではないとかで議論すべきものではない。日本の憲法は戦後74年間、憲法9条を守る平和憲法として国民の間に定着して維持されてきたもので、具体的に国際関係、国内関係で重大かつ重要な問題、支障が生じない限りは一度も見直されたことがないとか議論すらしてはいけないとかとかで議論される必要のないものだ。

 (5)安倍首相が目指す憲法改正はかって本人が言っていたように戦後米軍から押し付けられた憲法であり、主権国家として自主憲法制定は悲願ということだけで見直されるものではない。

 国民が現行憲法を74年間守り維持してきた実績評価のもとに、現状世界観、生活感、社会観、国家観にそぐわなくなった部分があれば論議し見直されるべきもので、現在そういう具体的、緊急な課題、問題が憲法にあるとは思えない。
 あるとすれば憲法9条を拡大解釈されない具体的な表現にすることだ。

 (6)安倍首相の目指す憲法改正は上述したように「政局」以外は考えられないもので、憲法改正は政局を切り離して議論すべきだとの自民党内の声はパラドックス(paradox)として安倍首相、政局を後押しするだけの発言だ。

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