いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

ひとり荒野を行く昔かたぎの政治。old-fashioned politics to going the wilds alone

2021-09-04 20:12:17 | 日記
 (1)安倍前首相は昨年まだ首相当時、夏に解散総選挙で自らの国会追及された疑惑からの打開を探っていたといわれる。選挙に強い安倍首相として存在感を示して、何としても21年7月に延期された自らが招致に関わった東京五輪までは首相として影響力を維持したかったともいわれている。自らの疑惑関与への追及が負担になったのか、昨年夏を前にして持病が悪化して辞任することになる。

 (2)安倍1強時代の人材不足も有利に働いたのか、官房長官として7年半も安倍政権を支えて官邸主導政治、省庁人事権掌握で霞が関を支配してきた菅官房長官が二階幹事長と党内5派閥の支持を受けて次の総裁、首相の座に就いた。
 派閥政治力学が復活していた自民党で、菅首相、総裁は無派閥出身であり異例なことだった。

 (3)菅首相の人間性については、本人が言うように横浜市議からのたたき上げの苦労人ということで、昔かたぎ(old-fashioned)のよくある律儀な性格とみられる。政治手法にみられるように、自分に反発するものは排除する、政府の方針に反対する官僚は交代させると明言するように一時代前の儒教思想に根差した父権社会思想を象徴するものだ。

 近代社会の有能な個性、能力を適材適所で活用して結びつけて多様性で成果を上げる手法ではなく、何でも自分で問題を抱え込んで自ら先頭に立って打開する口下手で説明力不足、言葉足らずのひとり荒野を行く(going the wilds alone)手法は父権社会思想を連想させる。

 (4)東京五輪開催で小池都知事にかわって菅首相がたえず前面に立って国民批判の矢面に出て、本人もあきらめたように都知事が何も言わないから自分がの趣旨発言をしているが、指導力が不足していた。

 それまでの党利党略、私利私欲、既得権益独占の首相と違って裏表の隠し事がない性格とみられて、その分政治力、迫力、調整力に欠けるところはある。

 (5)菅首相は異例の無派閥出身の首相と書いたが、内閣支持率が20%台に落ち込み選挙に負け続けるとなると、衆院選が近づく派閥議員からはそれぞれの問題として不安視されて支持を失い、バックボーンを失いかといってカリスマ性もなく身動きがとれなくなり総裁選不出馬、首相退陣に追い込まれた。

 無派閥出身ゆえに信頼できる党内に影響力のある側近、政治力のある議員が身近にいないだけに、気づけば孤軍奮闘、政治力、説得力、発信力、言語力がない分国民からの批判、反発を菅首相ひとりが背負うことになり、孤立感を深めた。

 (6)当時の安倍首相辞任表明を受けて、すぐにひとり手を挙げて党内の大方の支持を集めたことから総裁、首相の座に関心はあったとみられるが、菅首相の資質、素材ではなく、自分を見誤り、何をする首相かもはっきりしないままコロナ対策に追われて1年で退陣に追い込まれた。

 (7)安倍前首相とともに長期政権の一区切りとして一旦身を引いていたとすれば、党内への影響力、存在感は別のものとなっていたとも考えられる。パラドックス(paradox)として日本の政治への責任感、使命感だけは強かったともいえるが、自ら(の役割、資質、能力)を見誤ったともいえる。

 

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