いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

イデオロギーとしての裁判員と陪審員。 citizen judge & jury trial as social ideology

2024-06-03 20:18:54 | 日記
 (1)日本の裁判員裁判制度(citizen judge system)が始まって15年を迎えた。始まりは裁判官がいくつもの審理を抱えての多忙を解消するための裁判員裁判という理解が強かったが、裁判に市民感覚を導入するという大義名目が打ち出された。
 裁判は人が人を裁く不条理(unreasonableness)の世界で、高度の法律専門教育を受けた裁判官が犯罪を裁く社会思想(social ideology)の定着した日本では市民が裁判にかかわる手段としては検察審査会制度がふさわしいと考えるが、裁判員裁判制度も15年を迎えた。

 (2)裁判員裁判は当初から辞退者が多く5割強(報道)といわれたが、近年はさらに7割近くが辞退することもあるといわれる。仕事上の理由での辞退も多く、裁判員裁判休暇を認めている企業は全体の半数(同)にとどまり理解が浸透していない。
 日本社会は男性中心の大家族化から男女参画社会の核家族化に移行して、近所付き合いも疎遠になってもめごと、争いも増して権利意識の向上から裁判で解決を求める欧米型社会に移行しており、冒頭のように司法試験受験生も減って裁判官の減少もあるのだろうか裁判官がいくつもの審理を掛け持ちする審理多忙を招いている。

 (3)裁判員裁判制度もこれまで裁判員の負担過多、ストレス解消の対策、改善を進めているが、辞退者が過半数を大きく超える事態もあり、検証、対策、検討が必要だ。日本の裁判員裁判制度の手本となっているのが米国の陪審員(jury trial)裁判であり、こちらの方は建国以来の保安官時代の市民が人を裁く社会思想、風土の中で長く培(つちか)われてきた裁判制度だ。

 (4)今、同じ時期に米国で話題、関心、注目を集める陪審員裁判の評決があった。トランプ前大統領の不倫スキャンダルもみ消し工作の口止め料不正経理処理に対する審理だ。こちらの方は12人の陪審員の全会一致が原則で、一人でも反対が出れば有罪にはならない。
 このためトランプ裁判では事前予測で有罪判決は五分五分とも言われていたが、全会一致でトランプ前大統領の有罪評決(報道)となった。

 (5)トランプ前大統領は無罪を主張して、同有罪評決を「政治的迫害だ」(報道)と非難して控訴する方針だ。共和党として確定的な11月の大統領選立候補には法律上も問題はない。
 日本の裁判員裁判と米国の陪審員裁判は国の成り立ち、社会思想、風土もまったく違う中での裁判にかかわる市民参加であり、裁判員裁判も15年を迎えて一定の評価(裁判員のほとんどが良い経験と認め、性犯罪、虐待でより重い判決)もあり、市民参加しやすい司法制度、社会思想の理解、方法、定着が課題だ。
 
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