(1)辺野古移設問題では、裁判所に憲法にもとづく国民の平等な基本的人権の保障精神にのっとって「ガツン」と沖縄に過重の負担を押し付けるのは不平等であり、政府に対して米軍基地の県外移設を求める判断を示してほしいのが心境だ。
翁長知事が前知事による辺野古埋め立て承認の取り消しをしたことに、政府がこれを停止する代執行を求めた訴訟で福岡高裁那覇支部が「窮余の一策」(the last resort)というか「和解案」を示して、国と沖縄県の対話促進、協議を求めたものだ。
日米軍事同盟関係の米国、米軍を巻き込む国際的政治問題を含む高度な政治判断が求められる訴訟では、裁判所は三権分立の立場もあって多分に踏み込んだ判断はできにくいことが考えられる。
(2)国と地方自治体(沖縄県)とが政策上の問題で訴訟に持ち込まれること自体が国の統治のあり方としては不自然な姿であり、地方自治の観点はあっても国と地方自治体が話し合いの上に解決策を模索するのは必要な統治形態であった。
辺野古埋め立て問題では沖縄県と国が相互に訴訟合戦をくり広げて、裁判所としても判断のむずかしい立場に立たされていた。裁判所としては訴える利益があるのか手続き上の判断などいろいろな観点(政府の代執行の要件が満たされていない)から検討を重ねた末の窮余の「和解案」の仲裁裁定だったと考えられる。
(3)安倍首相、官邸もその辺の事情を考えたのであろうか、裁判所の和解案が提示されて早くから米政府に政府関係者を秘密裏(報道)に派遣して調整にあたったとみられており、その結果としての今回の突然の安倍首相の和解案受け入れ表明だった。
沖縄県の意向に近い辺野古埋め立て工事を中止して国と沖縄県が話し合い、協議を続けるというものだ。もちろんこれは裁判所の訴訟による決着を回避したい窮余の一策であるだけに、国と沖縄県との話し合い、協議で解決するような問題でもない。
(4)政府は日米合意による辺野古移設が唯一の解決策との立場は重ねて主張しており、翁長知事は県外移設で県民の信任を受けたとして辺野古に基地をつくらせない主張を譲らない姿勢をあらためて示しているからだ。
並行して焦点となるのは、代執行訴訟前に戻り翁長知事の前知事による辺野古埋め立て承認の取り消し判断の正当性だ。今後は和解協議の過程でこの問題が訴訟として浮上してくることが考えられているが、国も沖縄県も今後の裁判所の判断、判決には従うとしているので、辺野古埋め立て工事の再開を左右する重要判断になる。
(5)翁長知事の裁量権の問題であり、早い司法判断を求めて辺野古移設問題の方向性を現実的にすべきだ。
安倍首相としては秘密裏での早い段階での米国政府との調整接触で感触を得ての今回の突然の和解案受け入れ表明だったと考えられるが、米国は次期大統領予備選まっただ中でもあり次期大統領に誰が選ばれるかによって政治判断は分かれる。
民主党政権が続けば政策的には現在と変わることは考えられないし、共和党政権とりわけ現在最有力候補とみられているトランプ候補が選ばれるということにでもなれば、その言動からも日米防衛負担はさらに厳しい注文が増えることになるだろう。
(6)安倍首相としては国と沖縄県の和解協議を続ける中で、米国新政権の方向性を見定めての対応ということになる。最近、米国政府関係者からは普天間飛行場の移設計画の先延ばしの言及もあり(秘密裏の日米調整接触を配慮したものか)、今回の和解案受け入れで日本側としても当初の予定計画の見直しに迫られる。
辺野古移設が障害となっても、普天間飛行場の早期の移設明け渡しが周辺住民の願いであり、和解協議で三方(国、沖縄県、宜野湾市民)の利益、三位一体を共有できる話し合いにできるのかが注目される。
翁長知事が前知事による辺野古埋め立て承認の取り消しをしたことに、政府がこれを停止する代執行を求めた訴訟で福岡高裁那覇支部が「窮余の一策」(the last resort)というか「和解案」を示して、国と沖縄県の対話促進、協議を求めたものだ。
日米軍事同盟関係の米国、米軍を巻き込む国際的政治問題を含む高度な政治判断が求められる訴訟では、裁判所は三権分立の立場もあって多分に踏み込んだ判断はできにくいことが考えられる。
(2)国と地方自治体(沖縄県)とが政策上の問題で訴訟に持ち込まれること自体が国の統治のあり方としては不自然な姿であり、地方自治の観点はあっても国と地方自治体が話し合いの上に解決策を模索するのは必要な統治形態であった。
辺野古埋め立て問題では沖縄県と国が相互に訴訟合戦をくり広げて、裁判所としても判断のむずかしい立場に立たされていた。裁判所としては訴える利益があるのか手続き上の判断などいろいろな観点(政府の代執行の要件が満たされていない)から検討を重ねた末の窮余の「和解案」の仲裁裁定だったと考えられる。
(3)安倍首相、官邸もその辺の事情を考えたのであろうか、裁判所の和解案が提示されて早くから米政府に政府関係者を秘密裏(報道)に派遣して調整にあたったとみられており、その結果としての今回の突然の安倍首相の和解案受け入れ表明だった。
沖縄県の意向に近い辺野古埋め立て工事を中止して国と沖縄県が話し合い、協議を続けるというものだ。もちろんこれは裁判所の訴訟による決着を回避したい窮余の一策であるだけに、国と沖縄県との話し合い、協議で解決するような問題でもない。
(4)政府は日米合意による辺野古移設が唯一の解決策との立場は重ねて主張しており、翁長知事は県外移設で県民の信任を受けたとして辺野古に基地をつくらせない主張を譲らない姿勢をあらためて示しているからだ。
並行して焦点となるのは、代執行訴訟前に戻り翁長知事の前知事による辺野古埋め立て承認の取り消し判断の正当性だ。今後は和解協議の過程でこの問題が訴訟として浮上してくることが考えられているが、国も沖縄県も今後の裁判所の判断、判決には従うとしているので、辺野古埋め立て工事の再開を左右する重要判断になる。
(5)翁長知事の裁量権の問題であり、早い司法判断を求めて辺野古移設問題の方向性を現実的にすべきだ。
安倍首相としては秘密裏での早い段階での米国政府との調整接触で感触を得ての今回の突然の和解案受け入れ表明だったと考えられるが、米国は次期大統領予備選まっただ中でもあり次期大統領に誰が選ばれるかによって政治判断は分かれる。
民主党政権が続けば政策的には現在と変わることは考えられないし、共和党政権とりわけ現在最有力候補とみられているトランプ候補が選ばれるということにでもなれば、その言動からも日米防衛負担はさらに厳しい注文が増えることになるだろう。
(6)安倍首相としては国と沖縄県の和解協議を続ける中で、米国新政権の方向性を見定めての対応ということになる。最近、米国政府関係者からは普天間飛行場の移設計画の先延ばしの言及もあり(秘密裏の日米調整接触を配慮したものか)、今回の和解案受け入れで日本側としても当初の予定計画の見直しに迫られる。
辺野古移設が障害となっても、普天間飛行場の早期の移設明け渡しが周辺住民の願いであり、和解協議で三方(国、沖縄県、宜野湾市民)の利益、三位一体を共有できる話し合いにできるのかが注目される。