(1)小野寺防衛相が「(前防衛相の)大臣指示に適切に応えられなかった。文民統制にかかわりかねない重大な問題だ」(報道ー( )内は本ブログ注)とイラク日報問題で自衛隊トップの幕僚長ら17人を処分した。
防衛省は前防衛相が残っていないとしたイラク日報がすでに1年前に自衛隊内に存在していたことを確認していた経緯などの調査結果を公表した。防衛省の組織的隠ぺいを否定した報告内容の是非はここでは別にして、統幕が今年2月に上記経緯の報告を受けた後も小野寺防衛相への報告に1か月かかった(報道)二重の報告遅滞行為に対してシビリアンコントロールへの不信、懸念、危機を表明したものだ。
(2)現防衛相が防衛省内のシビリアンコントロールへの不信、懸念、危機を表明したことはまさに国家防衛実力組織として「重大な問題」だ。防衛省は国家防衛機関として国家機密情報が多く、内部は閉ざされた組織で何がどうなっているのか国民にはよくわからない伏魔殿でもある。
そこが防衛省、自衛隊の統制基本理念のシビリアンコントロールが働いていないとなると、現防衛相が危機感を示したということは国家統治、行政指導に重大な懸念、危機が横たわっているという国民にとって重要な危険な情報である。
(3)自衛隊組織の責任者の処分でこと足りる問題とはならない。組織は次から次と責任者、役職者が変わるだけで体質が変わらなければ本質は変わらないことになるので、変革見極めが求められる。
保守思想の強い政治理念を打ち出す安倍政権で、自衛隊の役割、存在はこれまでの政府見解の個別的自衛権の行使範囲から安倍首相が拡大解釈して集団的自衛権の行使容認に転じて(国会多数で安保法制を強行成立)、日米軍事同盟に組み込まれて際限のない自衛隊の海外派遣を容易にして変化させてきた。
(4)防衛省内でもこれまでの背広組(官僚)主導の組織から制服組(自衛隊)の地位、立場を向上させて制服組の防衛相への助言など影響力を高める組織改革を進めてきた。
今回の南スーダン、イラク日報問題での自衛隊内で証拠隠ぺい体質、防衛相への情報隠し、報告の大幅な遅れはこの組織改革の流れと無縁ではないだろう。
(5)だから今回の自衛隊組織責任者の処分だけでは国家防衛機関の組織的危機への抜本的対策、改善にはならない。自衛隊法を改正して制服組の地位、立場を向上させて防衛相への影響力を格段に高めた組織系統を見直す必要がある。
国家防衛実力組織の防衛省、自衛隊はシビリアンコントロールが統治基本理念であり、当の小野寺防衛相がシビリアンコントロールに不信、懸念、危機を示しているなら組織内の背広組主導の統治体制に戻す英断が必要だ。
(6)自衛隊法を改正して制服組の地位、立場を向上させたのだから、元に戻すことは容易ではない。現行新体制の中で背広組の組織系統を変革してシビリアンコントロールが機能する系統権限体制を上乗せする構造改革が小野寺防衛相の不信、懸念(concern of a minister of defense)に応える道だ。
防衛省は前防衛相が残っていないとしたイラク日報がすでに1年前に自衛隊内に存在していたことを確認していた経緯などの調査結果を公表した。防衛省の組織的隠ぺいを否定した報告内容の是非はここでは別にして、統幕が今年2月に上記経緯の報告を受けた後も小野寺防衛相への報告に1か月かかった(報道)二重の報告遅滞行為に対してシビリアンコントロールへの不信、懸念、危機を表明したものだ。
(2)現防衛相が防衛省内のシビリアンコントロールへの不信、懸念、危機を表明したことはまさに国家防衛実力組織として「重大な問題」だ。防衛省は国家防衛機関として国家機密情報が多く、内部は閉ざされた組織で何がどうなっているのか国民にはよくわからない伏魔殿でもある。
そこが防衛省、自衛隊の統制基本理念のシビリアンコントロールが働いていないとなると、現防衛相が危機感を示したということは国家統治、行政指導に重大な懸念、危機が横たわっているという国民にとって重要な危険な情報である。
(3)自衛隊組織の責任者の処分でこと足りる問題とはならない。組織は次から次と責任者、役職者が変わるだけで体質が変わらなければ本質は変わらないことになるので、変革見極めが求められる。
保守思想の強い政治理念を打ち出す安倍政権で、自衛隊の役割、存在はこれまでの政府見解の個別的自衛権の行使範囲から安倍首相が拡大解釈して集団的自衛権の行使容認に転じて(国会多数で安保法制を強行成立)、日米軍事同盟に組み込まれて際限のない自衛隊の海外派遣を容易にして変化させてきた。
(4)防衛省内でもこれまでの背広組(官僚)主導の組織から制服組(自衛隊)の地位、立場を向上させて制服組の防衛相への助言など影響力を高める組織改革を進めてきた。
今回の南スーダン、イラク日報問題での自衛隊内で証拠隠ぺい体質、防衛相への情報隠し、報告の大幅な遅れはこの組織改革の流れと無縁ではないだろう。
(5)だから今回の自衛隊組織責任者の処分だけでは国家防衛機関の組織的危機への抜本的対策、改善にはならない。自衛隊法を改正して制服組の地位、立場を向上させて防衛相への影響力を格段に高めた組織系統を見直す必要がある。
国家防衛実力組織の防衛省、自衛隊はシビリアンコントロールが統治基本理念であり、当の小野寺防衛相がシビリアンコントロールに不信、懸念、危機を示しているなら組織内の背広組主導の統治体制に戻す英断が必要だ。
(6)自衛隊法を改正して制服組の地位、立場を向上させたのだから、元に戻すことは容易ではない。現行新体制の中で背広組の組織系統を変革してシビリアンコントロールが機能する系統権限体制を上乗せする構造改革が小野寺防衛相の不信、懸念(concern of a minister of defense)に応える道だ。