君は泣きながらつぶやいた
届かぬ思いはどこへ行くの?
どんなに強く求めても
離れていくよ
僕たちは (トランスフォーム)
本当に届いて欲しかった願いも、
本当は伝わって欲しかった想いも、
行き場所を失くして独りぼっち
文字通りの一人相撲
どんなに強く祈っても
どんなに強く求めても
決して交わらない
決して分かり合えない
そんな“壁”は確実に存在する
そのどう仕様も無さに疲れ果てて、
有り体な「頑張れ」にも「分かり合えるさ」にも嫌気が差して
認めたくなかった事実からも目を背けたくなった時に
そっと側で鳴っていてくれる・・・
個人的にはそんなアルバムというイメージ、というか、事実自分の中ではそういうアルバムです「2011ep」。
上記の「トランスフォーム」という曲は今作の中でも一番重く、
「壊れながら生まれ変わる」という痛々しいフレーズが自分にも似合ってる気がして
今作でも特にお気に入りの一曲です
なんというか・・・
孤独だったり、疎外感だったり、物寂しさを抱えながら生きている人には確実に響く歌と曲になっていると思いますし
終末的な空気感、退廃的なムードも個人的にツボで、尚且つ先述の様に「どん底からの再生」っていうテーマ性もただ奈落に朽ちていくだけではない良さがあります
今作はそんな風に、傷付いて、叶わなくて、挫折した方々にとっての処方箋になり得るような
或いは羽根を一時置かせる休息所の役割を果たすような気持ち救われる類のアルバムに仕上がってるかな、と
実際ここのところほぼ毎日真夜中に今作を聴いてちょっと泣いたりちょっと救われたりしている自分がいるんですね。
醜い分だけ 美しさを知って
焦がれた分だけ 深く刻まれて
痛みを知るたび 癒されていくよ (光と言葉)
真夜中にいつも今作を掛けて冒頭のこのフレーズを聴くだけで救われるような「何か」があります
それはきっと、“上手く行ってないから”という現実も往々にして作用しているのだと思います
傍から見れば醜悪な妬む気持ち、本当は悔しい、って気持ち
頑張れば頑張った分だけ報われないという事実
でも、ホントはそんな「彼ら」が羨ましかった
自分が欲しいものをあっさりと手に入れて行く「彼ら」に焦がれて
決して届かない埋められない差に絶望する
忘れ得ぬ記憶、
消えない敗北、
拭い切れない劣等感・・・
だけど、この曲を聴いていると、そんな経験も、気持ちも、決して無駄じゃない
それを感情論や根性論ではなく、確かな説得力を以って響かせているのが実に見事だと感じました
焦がれてしまった気持ちは事実
憧れた気持ちは事実
それすら糧に変えて行くような、そんな強い衝動を、むしろ消えなくて良かったと思えるくらいの憧憬を。
傷が出来る、痛みを感じる、という事は必然的に「治って行く」という事実も付随する、という
考え方も「よくよく考えればそうだな」って自然と頷けたんですよね
痛みを感じた分いつかは消えてなくなっていく
癒されて行く。
「頑張れ頑張れ」「分かり合える分かり合える」というそういうメッセージ、笑顔を促すのもそれはそれで必要な事だし
時に必要としたい時だってあるけれど、残念ながらいつだってそんな気分で居られるほど良く出来た人間なんかじゃない
立ち直れない精神状態の時に、腰を据えて一緒に苦しんでくれる音楽だって必要だと思う
そう考える自分にとっては正にジャストフィットする類の楽曲が詰まっている一作です。
そして、5曲で約30分とEPだったりミニアルバムと呼ぶにはあまりにもボリューミーな内容もまたじっくり聴けて良いと思います
奪い合う恋に 疲れ果てたら
縛りあう愛に 息がつまりそうなら
誰のものでもない君の素顔を
新しい朝日で照らそうよ
もういいよ (もういいよ)
どうしたらもっと さりげない幸せ
静かなラブソング きみに届くだろう
どうしたら もっと冴えたやり方で
静かなラブソング 今きみに伝えたいのに (Quiet Town)
5曲中5曲とも素晴らしい、と形容して差し支えない堂々としたクオリティのアルバムに仕上がってるんですが
個人的に・・・「なんだか最近息苦しいな」とか「なんだか最近心が満たされてないな」だとか
そういう事を感じている時に聴くとより一層寄り添ってくれる効能のある作品だと思います
特に自分は、常にポジティブなイメージを抱く事が苦しい人間であり
溶け込め無さには自信を持っている程なので
本当に今作の内容がよく伝わります
それは勿論自分自身が今作を聴いて勝手に「伝わって来る」とのたまっているに過ぎない話
しかし、それでも確実に、今作を聴いて個人的に感じ取ったペーソスに心癒されて
物悲しかったり、なんだか報われない想いに作用してくれた事は事実
この季節にもピッタリ似合うと思うし、
発売されたのは夏ですけど(笑
秋模様や冬空にとても似合うセンチメンタルかつ沁み入る傑作だと思いました
また、全体的にメロディも素晴らしくアップテンポでもバラッドでも口ずさみたくなるキャッチーさがあると感じるので
小気味良いアレンジと併せて是非ムーディな大人のロック・サウンドを味わって欲しい一枚
そう、「酸いも甘いも味わった大人」向けの作品って気がするのも素敵な作品ですね。
ちなみに「Quiet Town」はTAMTAMのカバーですが、彼らのオリジナル?と言われても違和感がないくらいモノにしているカバーになってます。
そこもまた信頼出来る一枚。素敵です。
にしても「光と言葉」は何かの主題歌になってもいいくらいの名曲ですね。
鮮やかな電子音も実に良く映えていて素晴らしいですし、
「Quiet Town」のアウトロのギターの音色なんかも激シブでサウンドデザインも正に最高!な一枚です
ちょっとシックで、大人っぽくて、心地良い憂いのある作品が好きなら是非聴いて欲しい作品
いつも助けられてます。