ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「マサチューセッツ工科大学」 フレッド・ハプグッド

2006-11-16 12:50:04 | 
理科系というか、技術系の本を読むと、時折目にするのがマサチューセッツ工科大学の名前だ。通称MITで知られる、アメリカ東部の名門大学だ。

私は典型的な文系人間だが、理科系の話は嫌いではない。むしろ興味津々なのだが、残念ながら数学的センスに欠けていることは自覚していた。また、手先があまり器用ではないようで、工作なども好きなわりに下手だと思う。だからこそか、理系には少々憧れめいたものを持っている。

面白いと思うのは、理系の人の書く文章は、理路整然としていて読み易いのもさることながら、その人間的な葛藤や、軋轢、名声欲などの情理的な匂いが嗅ぎ取れるものが、ままあり非常に興味深いと思っている。

そのあたりが面白くて、新技術の開発秘話とか、エンジニアの苦労話などを時折読むことを楽しみにしていた。そこで出てくるのが、MITの名前だ。多くの場合、ライバルとしてであり、畏敬すべき知識・技術の殿堂として君臨している。

いったい、どんなところなのだろう?

そんな私の疑問に十分に応えたとは言い難いが、なるほどと感心させられたのが表題の本でした。あらためて、アメリカという国の変化に富んだ内情が印象的でした。なかでも、大学というものに対する考えの違いには考えさせられます。

よくアメリカはトップ・ダウン方式で、日本はボトム・アップ方式だなどと言われますが、そんな単純な方式では測れない、物事の動かし方の違い。大学という組織を作ることや、その組織の運営方式も個人の力量に強く左右される面白さ。不安定さでもあるが、そこから新しい形式が生まれる。このあたりがアメリカの強さの一因なのだろうと思う。

名門MITもまたしかり。決して一夜にして築かれたものではないし、必ずしも創設者の意図した方向へ進んだわけでもない。しかし、常に可能性を求めて動き続ける強さ。その強さが今日の地位を築いたのだと、それなりに納得できました。一言で言えば「転石、苔生さず」でしょうかね。だからこそ、名門なのでしょう。

やっぱ、凄いわ。
コメント (1)
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