ヌマンタの書斎

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城選手の引退

2006-11-29 09:33:22 | スポーツ
鮮烈なデビューであったことは、今も瞼に焼き付いている。

JEF市原(当時)の期待の新人FWとして、開幕戦から4戦連続でゴールを決めた頃の、城選手は輝いていた。その後、マリノスへ移籍してからも、日本期待の若手としての期待を集める有望株であったことは間違いない。

ただ、どちらかというと二番手だった。エースの城というフレーズを付けられながら、実際にはオルデネビッツやマスロバル。サリナスという外国人エースFWの後塵を拝していた。代表でもしかり。当時は三浦カズと中山というベテランFWの二番手的な扱いだった。アタランタ五輪では小倉の負傷でエースの座が回ってきたが、絶対的FWではなかったと思う。

スピードはあったと思うし、意外なほどヘディングは強かった。ポストプレーと前線での献身的な守備とプレーの幅が広かったのは確かだ。ただ、FWとして絶対的な強みに欠ける選手だった。

記憶に残るのは、やはりフランスW杯最終予選、イランとの決定戦での同点シュートだ。強靭なイランDFに挟まれながらの、起死回生の得点だった。控えFWの意地が炸裂したシュートでもある。

しかしその後がいけない。アマチュア監督が、マスコミに煽てられてチームの構成を崩し、ようやく獲得したエースFWの地位だが、期待には沿えなかった。フランス本大会では、意味のないオーバーヘッドで小ばかにされ、ペナルティエリアのなかでのパスで失望され、帰国した成田空港ではサポーターから水をかけられる始末。

せっかく海外へ移籍しても、得点よりもパスを選ぶ消極性は変わりなく、失意の帰国。それでもJ1、J2と格落ちしながら今日まで続けた選手生活も、今期で終りを告げ引退することとなった。

何がいけなかったのだろう。才能あふれる期待の選手であったことは確かだ。しかし、器用貧乏であった気がする。いろんなプレーを求められ、それに応じているうちに、点取り屋としての本領を失った観がある。チームプレーが大切なのは確かだが、一選手としての強さに欠けていた気がする。

これは城選手に限らず、日本人選手全般に言えることでもある。Jリーグが始まって、はや13年。未だ世界に通用するFWは育っていない。やはり歴史の浅さを感じざる得ない。まあ、これからの楽しみだと前向きに考えてみますかね。
コメント
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