ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

イルカのいじめ

2006-11-20 09:38:04 | 社会・政治・一般
子供の頃、好きだったTV番組に「わんぱくフリッパー」があった。出演していたイルカはバンドウイルカだと思う。キュルキュルと鳴く愛くるしさが魅力的だったと記憶している。

ところが、このバンドウイルカという奴は海の生態系の中では強者の部類に入る。極めて知能が高いだけでなく、相当な戦闘能力の持ち主で、成人した大人のバンドウイルカは、凶暴なホオジロザメでさえ、撃退することが出来る。

CS放送で「アニマル・プラネット」という一日中、動物などのドキュメンタリーばかりを流している番組がある。そのなかで幼い子供のバンドウイルカを襲おうとしたホオジロザメを、親イルカたちが撃退したシーンを見たことがある。

流線型の姿に相応しく、素晴らしい速さでサメに突進して、その鋭い鼻先で体当たりを繰り返し、凶暴なホオジロザメを追い払う姿に驚いたものだ。しかも、一族のバンドウイルカたちが、巧みなチームワークで子供を守り、サメを遠ざける様は知能の高さを伺えた。

しかし、違う番組でとんでもない場面を見ることが出来た。なんと愛くるしい姿で人気の高い、このバンドウイルカが、他の小型のイルカを苛めている。巨体を活かして突っつきまわし、最後にはいじめ殺してしまったから驚いた。カワイイ容姿のくせに、なにするねん?

実のところ、知能が高く、集団生活を営む動物には、このようなイジメを行う習性があることは、以前から動物学者などの報告にあった。チンパンジーはもとより、ニホンザルにも見られるようだ。もちろん、生存領域(なわばり)を守るために、他の動物どころか血縁の同種でさえ殺してしまうことがあるのは、虎や熊などにもしばしばある。

しかし、イルカはどうもそのような生存領域を守るとか、配偶者を巡る戦いとかで殺すのではなく、娯楽として他の種族のイルカを殺したように見えた。同様な例に、オルカ(シャチ)がアザラシなどを追いかけ、突きまわし、宙に放り投げて、やがて殺してしまうことがある。しかも食べるわけではない。

どうもイジメという行動は、知能が高く集団生活を営む動物には、普通に生じるものであるらしい。おそらく、人間もそうなのであろう。そりゃ、イジメはなくならないはずだ。

イジメを無くすことは出来ないと思うが、止めることは出来ると思う。止めて、イジメの原因を探り、イジメられる子、イジメる子双方に改善を促すことは出来ると思うし、やるべきだ。誰が?やはり先生だろう。学校とは、単に知識を学ぶ場所ではなく、社会における適切な行動を学ぶ場所でもあるはずだ。

私は教師に対する不信感が相当に強いが、それでも教師の役割の高さを認めている。実際、いじめを止めさせた先生を見ているし、断固たる覚悟があれば出来ると思う。ただ、最近の先生は、鉄拳制裁はもとより、怒鳴ることさえ出来ないらしい。子供の躾けも満足に出来ない親が、教師にその役割を押し付けることも、けっこうあるらしい。

安倍首相が掲げる、教育再生とは、まず先生と親の双方が改める事だと思う。間違っても、慎重な判断を要するとか言って、問題の先送り、現状維持をしてはいけないと思う。
コメント (3)
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