ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

最近の霞ヶ関

2006-11-22 12:14:22 | 社会・政治・一般
最近つらづら思うことがある。

戦後の日本の高度成長は、霞ヶ関の官僚たちの功績がきわめて大きいと思う。一言で言えば「加工貿易立国」とでも評したらいいのだろうか。原料を輸出して、国内で加工製品化して輸出してドルを稼ぐ。一方、衰退業種には時間を与え、緩やかに縮小させて、急激な影響が出るのを抑制する。

もちろん、主役は民間企業だ。行政はそれを誘導したに過ぎない。時にはミスリードもあった。また、行政の関与が既成利権と化して、談合や天下りの弊害を招いた点は看過しえないと思う。強力な力を持つが故に、副作用が出るのは必然であろう。

もちろん、失敗も多々あったと思う。それでも成功したと評すべきだ。現在、世界経済のけん引役の一端を担いつつある東アジア経済だが、その発展過程は日本を参考にしたものが多いのが、なによりの証明だと思う。

ところがだ、最近その霞ヶ関の様子がおかしい。

実は近年行われている改正法案には、抜き打ち的というか、不意打ち的なものが少なくない。予告なしに突然、法案に盛り込まれている。非公開の委員会などで一応審議したらしいが、その過程は不透明で、その出席者からも不満の声が漏れ聞こえる。

私は仕事柄、どうしても税法に注目しがちとなる。2年前の「不動産の譲渡損の通算制限」や昨年の「オーナー企業の役員給与の損金算入制限」などは、ほとんど唐突に法案に盛り込まれ、ろくに議論もされずに国会を通過している。

これらの改正は、一部の納税者に多大な影響を与えるにも関わらず、十分に審議されたとは言い難い。いや、審議をされるのを避けている印象が強い。事実、その改正自体知らない人が多数にのぼるのが実情だと思う。

更に嫌らしいと思うのは新聞やTVといった大手マスメディアの態度。ほとんど、霞ヶ関の広報誌と化している。おそらくは、記者クラブで配布される資料の丸投げ報道であろう。小泉前・首相への丸投げ批判が聞いて呆れる。

規制緩和と言われつつ、実際は提出書類は増え、手間がかかるようになっている。市民の声を聞くと言いつつ、実際はお手盛り、やらせの委員会審議が増えている。かつて、大平内閣の時の「グリーンカード導入」の際には、様々な意見が聞き取られ、霞ヶ関の抵抗も虚しく法案は消えたこともあった。しかし、近年そのような話は大幅に減っている。

ジワジワと、気が付いたら手取りの収入が減っているのも、いつの間にやら天引きされる社会保険が増えているからだ。皆さん、お気づきで?

どうも、最近の霞ヶ関のエリートさんたちは、自分達の意見が批判、批評されるのに耐えられないみたい。だから、不意打ちで改正法案を国会に提出する。おバカな改正法案が国会を通ってしまい、その結果苦しみ悶えるのは市井の庶民だけ。

霞ヶ関のエリートさんたちは、膨大な情報を握っている。答えが決まっている問題なら、どんなに複雑でも回答を導き出す。しかし、前例がない場合や、模範答案がまだ見つかっていない問題への対処は、圧涛Iに下手だ。それが官僚というものだ。

最近、特にヒドイのが医療法改正であり、介護保険法だと思う。すでにリハビリ難民が出ているのは、一部の報道で最近知られるようになったばかり。あまりにお役所任せにしていると、ひどい目に遭う事が多々ある典型となっている。官僚は万能ではない。だからこその三権分立なのだが、書いてて虚しくなる。

日本は基本的に行政主導型の国だと思う。だからこそ、そろそろエリート(キャリア官僚)の育成方法を見直すべき時期に来ていると、私は考えます。
コメント (2)
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