さきの2月、スポーツ新聞や週刊誌の紙面を賑せた話題の一つが、大相撲における八百長問題だった。
古くて、新しい問題でもある。私は子供の頃から相撲を見て、部屋の稽古の見学にも行ったことのある相撲ファンだ。だから、何時とはなしに疑問に思う取り組みがあることは知っていた。
いつも八勝七敗前後で幕内にいる関取は、決して少なくはない。どうも胡散臭いと思っていた。なかでも怪しいと思えたのが、あの大横綱・千代の富士だった。
断言するが、強い横綱であったことは間違いない。明らかに八百長臭い取り組みなど見たことがないのも確かだ。それでも怪しいと言わざる得ないのは、本気(?)の時の相撲との落差が激しかったからだ。
人気者だった寺尾を土俵に叩きつけたり、人気急上昇中だった益荒雄を投げ捨てる激しい相撲と比べると、普段の相撲が平穏に過ぎる印象があった。なかでも記憶に深く残っているのが、54連勝中の最後の相撲、大乃国戦だった。八百長を嫌ったとされる大乃国との不仲は有名だった。その大乃国が千代の富士を寄り切った時の会心の表情と、真剣に悔しがる千代の富士の表情は今も記憶に残っている。
証拠なき私の憶測だが、千代の富士は勝利を確実にするために、或いは怪我をしないために勝ち星を買っていたのではないだろうか。当時、力士の大型化が急速に進んでいたなか、小兵だった千代の富士が八百長相撲を受け入れたのも一理あると思う。
強かった千代の富士だが、15日間本気の勝負をすることは、相当な負担であったと思う。本気でやれば勝てる相手でも、そこは勝負事。不意打ちや、相撲の流れのなかで負けてしまうこともあるはず。横綱相手に金星を狙う相手と、夢中で戦った結果怪我をする可能性が高いことも、よく分かっていたと思う。だからこそ、怪我をせずに確実に勝利をえるため八百長を受け入れたのではないかと推測できてしまう。
八百長は良くない。当たり前のことだが、でもちょっと待てと言いたい。先日の千秋楽の優勝決定戦を見て、あらためて思った。つまらない相撲を見せられるくらいなら、八百長でも面白い相撲を見るほうがマシだ。八百長と分る相撲はつまらない。しかし、玄人目にも分らないほどの高いレベルでの八百長なら、私としては許容範囲だ。
相撲にせよボクシングにせよ、観客に見せ、観客を喜ばしてこそだと思う。それが興業だと思う。どんなに技術水準が高く、選手同士が本気の勝負を見せられても、それが面白いものでなければ、それは興業としては失敗だと思う。
興業はスポーツではない。あのつまらない優勝決定戦を引き起こしたのは、八百長批判報道だったと思う。あんな面白くない相撲をやってたら、それが八百長ではない本気の勝負だったとしても、相撲人気は低迷すると思う。
古くて、新しい問題でもある。私は子供の頃から相撲を見て、部屋の稽古の見学にも行ったことのある相撲ファンだ。だから、何時とはなしに疑問に思う取り組みがあることは知っていた。
いつも八勝七敗前後で幕内にいる関取は、決して少なくはない。どうも胡散臭いと思っていた。なかでも怪しいと思えたのが、あの大横綱・千代の富士だった。
断言するが、強い横綱であったことは間違いない。明らかに八百長臭い取り組みなど見たことがないのも確かだ。それでも怪しいと言わざる得ないのは、本気(?)の時の相撲との落差が激しかったからだ。
人気者だった寺尾を土俵に叩きつけたり、人気急上昇中だった益荒雄を投げ捨てる激しい相撲と比べると、普段の相撲が平穏に過ぎる印象があった。なかでも記憶に深く残っているのが、54連勝中の最後の相撲、大乃国戦だった。八百長を嫌ったとされる大乃国との不仲は有名だった。その大乃国が千代の富士を寄り切った時の会心の表情と、真剣に悔しがる千代の富士の表情は今も記憶に残っている。
証拠なき私の憶測だが、千代の富士は勝利を確実にするために、或いは怪我をしないために勝ち星を買っていたのではないだろうか。当時、力士の大型化が急速に進んでいたなか、小兵だった千代の富士が八百長相撲を受け入れたのも一理あると思う。
強かった千代の富士だが、15日間本気の勝負をすることは、相当な負担であったと思う。本気でやれば勝てる相手でも、そこは勝負事。不意打ちや、相撲の流れのなかで負けてしまうこともあるはず。横綱相手に金星を狙う相手と、夢中で戦った結果怪我をする可能性が高いことも、よく分かっていたと思う。だからこそ、怪我をせずに確実に勝利をえるため八百長を受け入れたのではないかと推測できてしまう。
八百長は良くない。当たり前のことだが、でもちょっと待てと言いたい。先日の千秋楽の優勝決定戦を見て、あらためて思った。つまらない相撲を見せられるくらいなら、八百長でも面白い相撲を見るほうがマシだ。八百長と分る相撲はつまらない。しかし、玄人目にも分らないほどの高いレベルでの八百長なら、私としては許容範囲だ。
相撲にせよボクシングにせよ、観客に見せ、観客を喜ばしてこそだと思う。それが興業だと思う。どんなに技術水準が高く、選手同士が本気の勝負を見せられても、それが面白いものでなければ、それは興業としては失敗だと思う。
興業はスポーツではない。あのつまらない優勝決定戦を引き起こしたのは、八百長批判報道だったと思う。あんな面白くない相撲をやってたら、それが八百長ではない本気の勝負だったとしても、相撲人気は低迷すると思う。