ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「奇巌城」 モーリス・ルブラン

2007-04-12 09:23:10 | 
子供の頃は、間違いなくホームズ派だった。なにがって、ルパン対ホームズである。

でも何時の間にやら30を過ぎた頃から、ホームズよりもルパンを好むようになっていた。多分、ルパンのほうに、より人間味を感じたからだと思う。

理由は不明だが、子供の頃はフランスよりイギリスを新しく感じていた。フランスには、ある種の田舎臭さを感じていた。フランスのイギリス嫌いが理解出来なかったからでもある。7つの海を支配したイギリスへの妬みではないかと勘ぐっていた。

さすがに現在では、むしろイギリスが異端で、ヨーロッパの中心はフランスとドイツなのだと理解している。スペイン?どうもピレネー山脈から向こうは少し毛色が違うらしい。多分イスラムのせいだろうと思う。

ヨーロッパといっても、けっこう多様多彩で、一概に括って考えやすいが、現地に行ってみるとそう簡単なものではないと思い知らされた。私は英語を国際共通語だと思い込んでいたので、ヨーロッパでもそうだろうと高を括っていた。たしかに空港やホテルでなら、大概が私の思いっきりブロークンな英語でも通じる。(聞き取るのは大変だけど・・・)

ところが街で英語はいけない。通じないというか、聞いてもらえない。途中から日本語で怒鳴ったら、そっちのほうが通じた。現地駐在中の友達に「英語は止めた方がイイ」とアドバイスを受けて、カタカナ読みのフランス語やドイツ語に切り替えたら、全然サービスが違う。ガイドブックのトラベル用語集、様様である。

どうも反・英語というか、アンチ・イングランド、アンチ・アメリカンの情念は、想像以上に深いようだ。

ところで表題の作品だが、ホームズ派を公言していた私も、これは好きだった。面白いでないかい、針のように細い岩の城だなんて。煙と同じで、高いところに登りたがる癖があったので、こんな城があるなら、是非とも登ってみたいと思っていた。この作品には、少年素人探偵も登場しているので、殊更感情移入しやすかったせいでもある。数あるルパンもののなかでも、一番のお気に入りだった。

ただね、創元推理文庫の「リュパン」という表記には、いまだに違和感がある。RとLの聞き取りも出来ない私だが、やはり「ルパン」だと思うが、どんなものだろう。
コメント (6)
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