指示されなくては、逃げることも出来ないのか。
先週、首都圏を襲った台風26号だが、最大の被害は大島の集落で起きた。大規模な土石流が生じて数十名が亡くなった大惨事である。夜半に起きた惨事でもあり、家に居ながらにして押し潰されて亡くなった方が大半であるようだ。
悲劇としか言いようがなく、お亡くなりになった方々には謹んでご冥福をお祈りしたい。ただ、この惨事が報じられた当初から報道される内容に疑問をもっていた。
現在、盛んに言われているのが行政の不作為、すなわち避難勧告の発令が遅れたことだ。川が溢れて危険な状態であることは警察に伝えられ、警察からも役所へ連絡があったにも係らず、起きてしまった惨事である。批難の声が上がるのは理解できる。。
だが、当初から私は疑問に思っていた。役所から避難を指示されなきゃ動けないのか、と。そりゃ、高齢や病気などで自ら動きづらい人はともかく、全員がそうではあるまい。
実際、生き延びた人たちの談話などを目にすると、川の増水に危険を感じ、警戒していたが故に間一髪で生き延びたようだ。もし、避難勧告を待っていたら、間違いなく生きてはいなかったであろう。
確かに役所からの避難勧告は遅すぎたのは間違いない。でも、勧告されなくては避難できないのかと疑問に思わざるを得ない。自然の危険に鈍感な都会の住人なら、分からなくもない。
しかし、大島は火山で有名であり、また台風や高潮の被害が出やすい島であることも常識に近い。なにより自然を相手にして生活している島ではないか。その自然災害に慣れた島民でさえ予見できぬほどの、異常な天災であったのだと思う。また亡くなった方には高齢者が多く、激しい風雨の中、家を出て避難するのを恐れることも分かる。
亡くなった人たちを誹謗する気はないが、自らの判断で逃げ出して生存していた島民も確かにいたのだ。自然災害に遭遇した時は、TVやラジオ、ネットといった情報入手も大事だが、やはり自分自身の目で見て、耳で聞いて、肌で危機感を感じ取ることが必要ではないか。
役所により避難勧告の遅れは確かに問題だが、役所というか人間は万能ではない。自分自身の命、大事な家族の命を思うのなら、自らの判断で避難することも必要だと思うのです。