評価は立場によって違ってくる。
その立場とは、生き方であったり、信念であったり、あるいは集団の中に於ける位置であったりする。
また評価する対象によっても、その立場は変わってくる。
その場合の立場は、趣味であったり、嫌悪感であったりと、個人の心の在り様が反映されていたりする。
要するに、評価なんて絶対なものではなく、評価する者の事情により如何様にも変るものだ。もし、絶対的な評価があるとしてら、それは売上、あるいは観客数など数字で測れるものだけだ。
でも、好き、嫌いといった感情的な評価は、数値では納得できない。大ヒットしている作品でも、嫌なものはイヤということは良くあることである。
表題の作品は、その代表的なものだ。
修学旅行からの帰途、浜松近辺のトンネルのなかで新幹線は急停止した。負傷者続出なのに救助の手はなく、暗闇の恐怖に怯える生徒たち。そこからの脱出劇であり、緊迫状況の中での人間の異常な真理を抉り出す漫画であった。
正直、クライシスものとして傑作の予感はあった。しかし、物語としては、この漫画は多くの読者を裏切った。謎多き中途半端な終わり方は、後味の悪さを引き摺るもので、駄作との評が出るのも致し方ない。
私も物語としては失敗作だと判じている。しかし、これを物語ではなく、異常心理を描写を目的とした表現手段としての漫画ならば、高い評価があっても良いと思っている。
もしかしたら、文章だけで表現できたら、この作品は人間の異常心理を抉り出した文学として認められたかもしれない。でも、絵で表現するからこそ漫画である。
いずれにせよ、評価が割れるような作品であることは確かだ。白状すると、私はこの作品をあまり好きではない。でも表現手法の一つとしての価値は認めている。これで物語として完成していたら、嫌いでも高い評価なのですがね。
あの列車内で、地獄の黙示録か蝿の王なペイントして襲ってくる同級生が異様な迫力で。
感心したのは、そいつが主役と共に混乱の中で闇を浮黷驍ナないですか。その時に闇を人格化というか超自然的な神と捉えて、そちら側に行く事で助かろうとする。だから生け贄として主役を襲う訳ですよね。それは狂ってるのですが、混乱下での判断としては、狂ってるなりに筋が通っているのが浮「。ゾンビ浮ッればゾンビになっちまえ……的な反応で、闇に生け贄を定めた提げて自分は助かろうと。奇抜な発想ですが、そこに変な理屈が通ってるだけに浮ゥったです。