入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「秋」 (32)

2019年10月10日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

                             Photo by Ume氏

 日が昇り始めた。それを遮る雲はない。午前6時50分、気温2度。窓を開けっぱなしにしてストーブも点けず、その代わりに羽毛服を着ている。昨夜の酒が残っているのか、この方が気持ちがいい。
 霜に濡れたコナシの木々の葉に朝日が射し、ほぼ無風と言えるが、それでもかすかな風に揺れてキラキラと輝いて見える。日が高くなるにつれて牧草の上にも日が当たり始めた。
 
 鹿が鳴いてる。求愛の声だ。牧場やその周辺には夥しい数の鹿が生息していて、現状ではその数を抑える方法がない。鹿のホルモンに影響を与えるような薬を開発する以外に他に方法はないと思っているが、それを言ってみても、真面目には取り合ってもらえないのが実情である。
 もちろん鹿がいても構わないと思う。問題はその数で、いつかは減少に転ずるだろうが、さてそれがいつのことになるのやら。里では鹿の数が減ったなどと言う猟師もいるが、そういう人はここに来れば分かる。特に早朝と夕暮れ、群れをなした鹿をいたる所で目にすることができるはずだ。ここらでは、以前よりかも増えたと感じるほどだ。
 鹿による牧柵の被害は甚大で、知らない人は鹿の食べる牧草の方を案じてくれるが、牛100頭ぐらいの放牧なら、入笠牧場にとっては牧草よりかむしろ牧柵の管理の方が深刻な問題だと言える。特に電気牧柵となったら鹿はそれこそクモの糸でも切るように切る。だから、柵を飛び越える際の空中では、電牧に触れても感電しないということをすでに学習しているかと疑ってしまうほどだ。
 行政も、それが頼りにする学識経験者もそれほど当てにならず、このごろではあまり鹿には関心がなさそうだ。加えて猟師も、最近では以前のような意欲、関心を見せる人が少なくなってきた。特に若い人にそれが言える。野良には年寄りの姿ばかり目に付くが、それと同様、猟友会の平均年齢は上がるばっかりだろう。

 午前中はテイ沢へ草刈りにいくことにした。沢への登り口に置いたままにしてある2本の丸太も、そろそろ使い道が決まっている場所まで担ぎ上げねばならないが、あのうち1本はかなり重い。

 営業案内 「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」およびその(2)です。下線部をクリックしてご覧の上、どうぞご利用ください。
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